一人暮らしの部屋探しは、ワクワクして楽しいものです。しかし、賃貸物件を借りるときの初期費用(入居費用)の高さに驚く人もいるのではないでしょうか。
初期費用とは、「敷金や礼金、仲介手数料など、部屋を借りるときにかかる費用の総称のこと」です。
初期費用の目安は「家賃の4~5ヵ月分」になります。ですから一人暮らしでも、初期費用には20~40万円程度はかかります。
これから一人暮らしをする人にとって、この出費はかなりの負担になります。
そこでこのページでは、入居するときの初期費用を安く抑える方法について説明します。ここでの方法を参考にしていただければ、初期費用を10万円以上節約することも可能です。
初期費用の高さに悩んでいる人にとっては重要な内容になりますから、ぜひチェックしておいてください。
賃貸物件の入居時にかかる初期費用の内訳と相場
はじめに、初期費用に含まれている項目と、それぞれの相場について理解しておきましょう。
初期費用の内訳と相場は、以下のとおりです。
【初期費用の内訳と目安】
費用項目 | 内容・費用の目安 |
敷金 | 退去時にかかる部屋の修繕費に充てられるお金のこと ※地域によっては「保証金」となっている場合がある |
家賃の1~2ヵ月分 | |
礼金 | 大家さんに「入居させてくれたお礼」を込めて支払うお金のこと |
家賃の1~2ヵ月分 | |
仲介手数料 | 物件を紹介してくれた不動産会社に支払う手数料 |
家賃の0.5~1ヵ月分+税 | |
前家賃 | 入居した月の翌月分の家賃 |
家賃の1ヵ月分 | |
日割り家賃 | 入居した月の家賃 ※入居時期によって異なる |
家賃の1日~1ヵ月分 | |
保証会社利用料 | 連帯保証人がいない場合で、保証会社を利用するときにかかる費用 |
家賃の0.5~1ヵ月分 | |
鍵交換費用 | 前の入居者が使っていた鍵から別のものに交換するときにかかる費用 |
10,000~20,000円 | |
火災保険料 | 火災や水回りのトラブルなどで損傷した建物・家財を補償してくれる保険に加入する費用 |
20,000円 | |
消毒費用 | 部屋の害虫や雑菌を駆除・消毒するときの費用 |
10,000~20,000円 |
以上の費用をトータルすると、初期費用の相場は「家賃の4~5ヵ月分」程度になります。
それでは、家賃の金額ごとに初期費用の相場を見てみましょう。
【家賃別・初期費用の相場】
家賃 | 初期費用の相場 |
4万円 | 16~20万円 |
5万円 | 20~25万円 |
6万円 | 24~30万円 |
7万円 | 28~35万円 |
8万円 | 32~40万円 |
9万円 | 36~45万円 |
10万円 | 40~50万円 |
家賃の金額にもよりますが、単身者が部屋を借りる際にかかる初期費用は、おおよそ「20~40万円程度」です。家賃が高くなれば、初期費用に50万円以上かかるケースもあります。
なお、初期費用は入居する前に「一括振り込み」で支払うのが一般的です。
これから一人暮らしをスタートする人にとって、初期費用はかなりの負担になります。そのため、「初期費用をできるだけ抑えたい!」と考えるのではないでしょうか。
以下では、初期費用を安くする8つのコツを紹介します。すべて実践するのは難しいですが、できることを取り入れれば、初期費用は必ず安くなります。
❶ 敷金・礼金を交渉して値引きしてもらう
初期費用のなかでも、敷金・礼金は大きなウェイトを占めます。一般的には、家賃の2~3ヵ月分になりますが、高いところですと4ヵ月分かかることもあります。ですから、敷金・礼金が安くなれば、初期費用を抑えるのに効果的です。
値引き交渉は不動産会社にお願いしよう
敷金・礼金を安くするには、不動産会社のほうから大家さんに「値引き交渉」してもらう方法があります。不動産会社の担当者に「敷金や礼金は安くなりますか?」と相談してみましょう。
大家さんとしては「入居してもらいたい」と考えるのが普通ですから、交渉に応じてもらえる可能性はあります。
【筆者の体験談】初期費用の値引き交渉編
私自身、貯金があまりないときに引越した経験があります。その際、初期費用が安くならないか相談したところ、敷金を「2ヵ月分」から「1ヵ月分」に安くしてもらえました。それで何とか初期費用が払えたのを覚えています。
たとえば、家賃7万円の賃貸であれば、その金額分の初期費用が安くなるわけですから、節約したい人にとっては助かる話です。
このように、敷金や礼金が安くなれば、最初にかかる費用は抑えることができます。ですから一度、不動産会社の担当者に相談してみることをおすすめします。
敷金が安くなっても意味がない?
ただし、敷金は退去するときの修繕費に充てられるお金です。敷金が安くなったとしても、退去時の修繕費が足らなければ追加費用がかかります。
つまり、入居時に負担するか、退去時に負担するかの違いだけで、最終的に負担する金額は変わりません。
❷「敷金・礼金なし」の物件を探す
入居を募集している物件のなかには、「敷金・礼金ゼロ」にしているところがあります。そうすることで入居しやすい条件になり、「空室期間」を短くできるからです。
そのような条件の物件を探せば、初期費用が「家賃の2~3ヵ月分」も安くなります。
「敷金・礼金ゼロ」の物件で注意すること
ただし、「敷金・礼金なし」にしている物件は多くありません。ですから、その条件に限定して部屋を探すと、必然的に物件の選択肢は少なくなってしまいます。
また、「敷金・礼金ゼロ」と聞くと印象はいいですが、家賃が高めに設定されている物件もあります。ですから、家賃相場が適正か、ほかの物件とも比較して確認しておきましょう。
❸ 仲介手数料が無料の物件を探す
インターネット上には、「不動産会社の仲介手数料がかからない物件」を紹介しているサイトがあります。
通常、不動産会社から物件を紹介してもらうと手数料がかかります。仲介手数料の相場は、家賃の0.5ヵ月分になります。
しかし、自分でインターネットの情報から物件を探せば、不動産会社からの紹介は必要なくなります。つまり、仲介手数料がかからないことになります。
ネットで物件を探せば仲介手数料が安くなる可能性あり
インターネットで調べると、このような仕組みで運営しているサイトがいくつか見つかると思います。「賃貸 仲介手数料 無料」などのキーワードで検索してみてください。
そのサイトで物件を探せば、初期費用の節約につながります。
ただし、そのようなサイトでも、紹介されている物件によって仲介手数料は安くなっても、タダにはならないところもあります。そのことは理解しておいてください。
物件をネットで見つけても、必ず見学はするべし!
ちなみに、インターネットで探した物件でも見学することはできます。気に入った物件があったら、問い合わせて内見の予約をしましょう。
実際に物件を見てみると、「イメージと違う」というケースが良くあります。ですから、部屋探しのときは「内見」が必須です。
❹ 火災保険は自分で探して保険料を安くする
部屋を借りるときは、火災保険に必ず加入することになります。そのため、入居手続きの際に、不動産会社から「賃貸向けの火災保険」を紹介されると思います。
ここで、「紹介された火災保険に加入しなければいけない」と思い込んでしまう人が良くいます。
火災保険を自分で探してみよう
しかし、物件の管理会社が定めた条件を満たしていれば、どこの保険会社で加入しても問題ありません。つまり、自分で保険を自由に選ぶことができるのです。そのほうが、紹介された火災保険より割安になる可能性が高いです。
現在、私は自分で探した火災保険に加入しています。今のアパートに入居する際、紹介された火災保険料と比べてみましたが、以下のように差が生じました。
【火災保険料の比較例】
不動産会社に紹介された火災保険 | 2年契約で20,000円程度 |
---|---|
自分で探した火災保険 | 1年契約で4,000円程度(2年で換算すると8,000円程度) |
これを見ると、紹介される火災保険の料金がいかに割高か理解できると思います。
「付き合いのある保険会社で加入する」もしくは「ネットで割安な保険を探す」
付き合いのある保険会社があれば、そこで相談してみるのも良いです。また、インターネットでも割安な火災保険は探せます。初期費用を抑えたい人は、ぜひ検討しましょう。
保証内容は要チェック!
ただし、火災保険を自分で選ぶ場合は、補償内容が「物件の管理会社が定めた条件」を満たしているか、保険会社の担当者にしっかり確認してもらいましょう。
❺ フリーレント物件を探す
物件をインターネットなどで探していると、「フリーレント1ヵ月」という文字を見かけるかと思います。フリーレントとは、「指定された期間、家賃がタダになる」という意味です。
これは、空室をつくらないための工夫です。初期費用を安くしてハードルを下げれば、部屋を探す人にとって入居しやすくなります。
たとえば、「フリーレント1ヵ月」とある物件であれば、最初の1ヵ月分の家賃がタダになります。つまり、初期費用の「前家賃」がかからないことになります。
ですから、フリーレント物件を探すことは、初期費用を節約するのに効果的です。
フリーレント物件は家賃が高くなる?
ただし、フリーレント物件の数は多くありません。また、フリーレント物件のなかには、家賃を高く設定しているところもあります。ですから、家賃相場が適正か、ほかの物件の家賃と比べて確認しておきましょう。
❻ 消毒作業・害虫駆除は市販品を買って自分で行う
初期費用のなかに、「消毒費用」という項目があります。これは入居前に、消毒・害虫駆除の作業を行うときにかかる費用です。
ただし、消毒・害虫駆除をお願いするかは自分で決められるので、費用項目から外すこともできます。
消毒作業が必要ないケースもある
そもそも、前の住人が退去した際には、専門業者が必ずハウスクリーニングを行います。ですから、よほど空室期間が長くなければ、部屋はある程度きれいな状態になっているはずです。
部屋のなかを確認してキレイであれば、とくに消毒作業が必要ない場合もあります。
消毒作業や害虫駆除は自分でできる
作業自体は簡単ですから、市販品のバルサンや消毒エタノールなどを買って自分で行うこともできます。
業者にお願いすれば1~2万円かかるところを、市販品であれば2,000~3,000円程度で済むため、それだけでもかなりの節約になります。
❼ 連帯保証人を立てれば保証会社利用料はかからない
初期費用のなかに、「保証会社利用料」という項目があります。連帯保証人がいない場合は、保証会社を通して家賃を支払うことになります。そのときの手数料が「保証会社利用料」です。
保証会社を利用する場合は、2年契約で「家賃の0.5~1ヵ月分」の費用がかかるのが一般的です。
ただし、連帯保証人を立てれば、保証会社を利用料はかかりません。ですから、部屋を借りるときは、親などにお願いして必ず連帯保証人を立てるようにしてください。
❽ 家賃が安い時期に引っ越す
あまり知られていませんが、物件のなかには「6~8月」に家賃を下げるところがあります。なぜなら、その時期は引越しシーズンのあとで、入居してくる人が急激に減るからです。
たとえば、5月時点で空き部屋があると、そのあとも空室期間が続く可能性があります。大家さんとしては、空室の期間が長引くのは避けたいところです。ですから、家賃を下げてでも入居者を募集するのです。
もちろん、すべての物件の家賃が6~8月に下がるわけではありません。しかし、この時期に引越しをすれば、他の月より家賃が安くなっている可能性があります。
家賃が安いということは、初期費用を抑えるだけでなく、年間を通しての節約につながります。ですから、引越し時期を調整できる人は、6~8月が狙い目です。
賃貸の初期費用だけじゃない!引越し料金を安くする方法も考えよう
ここまでは、「初期費用を安くする方法」について説明してきました。ただ、引越し作業にも、もちろんお金はかかります。ですから、引越し料金を安くすることも考える必要があります。
引越し料金を安くする鉄則
引越し料金を安くする方法はいくつかありますが、その中でも最も重要なのが「相見積もり(あいみつもり)」です。
相見積もりとは、「複数社から見積もりを取り、料金を比較すること」です。これをすることで、安い引越し業者が一発で見つかります。
なぜ料金を比較する必要があるのかと言うと、引越し料金には「定価」がないからです。つまり、業者が自由に料金を設定できるのです。ですから、引越し料金は業者によって全く変わります。
【筆者の体験談】引越し料金編
以前、私も引越しをするときに相見積もりを取りました。そのとき驚いたのですが、一番高い業者と一番安い業者の差は53,000円にもなりました。同じ引越し内容でも、これほど差がつくとは思ってもいませんでした。
ただ、難しいことは何もしていません。複数社の料金を比較しただけです。
引越し料金をカンタンに比較する方法
各社の料金を比較するのに便利なのが「一括見積もりサービス」です。
一括見積もりとは、「複数社の見積もりがまとめてゲットできるサービスのこと」です。
実際に私も、この一括見積もりサービスを使って各社の料金を比べてみました。
カンタンに条件を比較できるので、一番安い引越し業者がスグに見つかりました。
一括見積もりは無料のサービスです。「少しでも引越し料金を節約したい!」という人は、ぜひ利用してみてください。
入居時にまとまったお金を用意できない場合は、初期費用の分割払いを検討する
初期費用を安くするには、上記のポイントを実践することが重要です。しかし、中には「初期費用に充てるまとまったお金が用意できない」という人もいるのではないでしょうか。
そのような場合は、「初期費用の分割払い」を検討してみましょう。不動産会社によっては、分割払いに対応してくれるところがあります。
一般的には、クレジットカードでの分割払いになります。カードがなくても、新しく作れば問題ありません。
初期費用を分割払いにするとカード会社の手数料がかかる
注意点としては、「分割手数料」がかかることです。分括回数が多くなると、それだけ手数料が高くなります。
ただ、入居するときに「まとまった現金」が必要なくなるため、初期費用が払えないという人には便利だと思います。
初期費用の分割払いについては、次の記事に詳しくまとめています。
まとめ
初期費用を安くする方法は、次のとおりです。
- 敷金、礼金を値引きしてもらう
- 「敷金、礼金なし」の物件を探す
- 仲介手数料が無料の物件を探す
- 自分で探した火災保険に加入する
- フリーレント物件を探す
- 消毒、害虫駆除は市販品で対応する
- 連帯保証人を立てる
- 家賃が安い時期(6~8月)に引っ越す
引越しする人にとって、初期費用は大きな負担になります。ですから、上記のポイントを理解して、初期費用が少しでも安くなるように工夫をすることが大切です。
トータルで見れば、初期費用を10~20万円以上も節約することは十分に可能です。
あわせて、引越し料金を安くすることも考えるべきです。一括見積もりサービスを使って、各社の料金は必ず比較するようにしてください。それだけでも数万円の節約ができます。
普段の生活でも、さまざまな出費があると思います。ですから、「引越しは安く」をモットーに、「物件探し」と「引越し業者選び」をしてみてください。