引越しに伴う手続きは何かと多くなるものです。ガスにおいても、「旧居での解約手続き」と「新居での開通手続き」がそれぞれ必要になります。
しかし、ガスの停止・開始手続きをどのように進めれば良いのか、さまざまな疑問があるかと思います。
引越し時のガスの手続きや準備は、旧居と新居で異なります。
旧居でやること
- 引越しが決まったら、ガス停止の申し込みをする
- 新居でのガス開始の申し込みをする
- ガス機器を外す
- 退去する際、ガスの元栓を閉じる
- 建物によってガス停止に立ち会う必要がある
新居でやること
- ガス機器を設置する(不明な場合は、係員に任せる)
- ガス会社の開栓作業に立ち会う
- ガスが使えるか確認する
- ガス料金の支払い方法を指定する
このページでは、「旧居での解約手続き」と「新居での開通手続き」についてそれぞれ詳しく説明します。手続きの進め方に不安を感じるかもしれませんが、ここでの説明をしっかり理解すれば難しいことではありません。一つ一つ順番に片付けていきましょう。
旧居のガス解約手続き
ここでは、ガスの停止方法や、その際の疑問について解説します。
ガスの解約申し込みは何日前までに行うべき?
引越しが決まったら、まずはガス解約の申し込みをする必要があります。申し込みは電話またはインターネットから行えます。
ガスの解約申し込みは、引越しの1~2週間前までには済ませておきましょう。インターネットから申し込む場合、引越し直前では受け付けてもらえないことがあります。
電話であれば引越し直前でも手続きは可能ですが、何かと忙しくなるので早めに済ませておいたほうが良いです。
したがって、引越しが決まったで段階で、電気や水道などの他のライフラインと合わせて停止手続きを進めることをおすすめします。
ガスを止めるタイミングはいつ?
「ガスの停止日はいつにすればいいの?」と疑問に思う人もいるはずです。
引越し当日でも、朝食、洗面、掃除などでガスを必要とする場面はたくさんあります。ですから、ガスの停止日は「引越し当日」にしておくと良いです。そのように申し込めば、引越し当日でもガスが使えます。
ガス栓は一度閉じると再び開栓することはできないため、タイミングには注意してください。
ガスの解約手続きと退去前の準備
ガスの解約申し込みは、契約しているガス会社に電話するか、ガス会社のホームページから行うことができます。そのときに確認されることは、以下のとおりです。
ガス解約申し込みでの確認事項
- 現在の住所
- 契約者の氏名
- 電話番号
- お客様番号(「ガスご使用量のお知らせ」または「領収証」に記載)
- 引越し先の住所
- ガスの停止日(閉栓希望日)
- 退去月のガス代の精算方法
手続きを行う際、新居の住所がわかる書類や検針票などを用意しておくとスムーズです。
なお、ガス会社が旧居と新居で変わらない場合は、解約といっしょに「新居でのガス開通申し込み」もできます。
【ガス機器の外し方】
ガス機器を梱包、処分する際の「外し方」についても理解しておきましょう。ガス機器を外す手順は、以下のとおりです。
ガス機器を取り外すときの手順
- ガス機器のスイッチをオフにする
- ガス栓を閉める
- ガス栓からガスコードを取り外す
- ガス機器からガスコードを取り外す
基本的には、この手順でガス機器を外せます。
手順を間違えるとガス漏れの恐れがありますから、十分に注意してください。ガス機器の取り外しが不安であれば、取扱説明書またはガス会社のWEBサイトなどを見れば詳しく書いてあります。
ガス機器を取り外す際に、ガス栓は閉めることになります。しかし念のため、退去する際はガス栓が閉まっているか必ず確認しておいてください。
ガス停止の際に立会いは必要か
停止日にガス会社の係員が来て、「最終検診」と「元栓閉め」を行います。その際、基本的には立ち会う必要はありません。
ただし、ガスメーターがオートロックの内側にある場合は、立会いをしなければいけません。立会いをするのかどうかは建物によって異なるため、解約申し込みの際にしっかり確認しておきましょう。
退去月のガス料金の精算方法
ガスを解約するときは、「最後の検針日~停止日までに使った分のガス代」を精算することになります。
その精算方法は、以下の3つから選ぶことができます。
■口座振替・クレジットカード払い
毎月のガス料金を「口座振替」または「クレジットカード」で支払っていた場合、最後の精算も同じようにできます。ただし、旧居と新居でガス会社が変わる場合は、この方法が使えないケースがあります。
■新居に請求書を送付してもらう
また、新居に「払込用紙」を送ってもらうこともできます。それを持ってコンビニ、銀行、ガス会社の窓口などに行けばガス代の支払いができます。
■停止日(引越し当日)に現地で現金精算する
停止日にガス会社の係員が来た際、その場で現金精算することもできます。この場合、係員の都合に合わせることになるため、当日のスケジュールをしっかり確認しておく必要があります。
プロパンガスの保証金はどうなるの?
今住んでいるところがプロパンガスを使っていれば、最初の契約時に「保証金」として1万円程度を預けていると思います。保証金を預けるのは、ガス代を滞納したり、停止手続きをせずに引越したりしたときのためです。
何も問題がなければ、解約時に保証金は戻ってきます。その際、最後の精算に充てられ、差額が返金されます。または、精算とは関係なく、保証金がそのまま戻ってきます。
いずれにしても、保証金は返ってくるので安心してください。
もしガスの解約を忘れたらどうなる?
引越しに伴う手続きはたくさんあるため、やることをきちんと整理しないと、「うっかり」ということも考えられます。
もし引越し前にガスの解約手続きを忘れてしまったら、気づいた時点ですぐに「旧居のガス会社」に連絡してください。
その際、インターネットからでも手続きはできますが、電話のほうが事情を説明しやすいので確実です。退去前に連絡を忘れていても、その後、きちんと連絡をすれば解約はできます。
【ガスの停止方法まとめ】
申し込み時期 | 引越し日の1~2週間前まで |
---|---|
手続き方法 | 電話、インターネット |
立会い | 不要(建物によって必要な場合がある) |
停止日 | 引越し当日 |
手続き時の確認事項 | 現在の住所 契約者の氏名 電話番号 お客様番号(「ガスご使用量のお知らせ」または「領収証」に記載) 引越し先の住所 ガスの停止日(閉栓希望日) 退去月のガス代の精算方法 |
ガス料金の精算方法 | 口座振替・クレジットカード払い 新居に請求書を送付してもらう 停止日に現地で精算する |
保証金 | 返金 |
備考 | 解約を忘れたときは旧居のガス会社にすぐ電話する |
新居のガス開栓手続き
ここからは、ガスの開通手続きについて解説します。新居での生活をスタートするにあたり、ライフラインの確保は欠かせませんから、しっかりと手順を押さえておきましょう。
ガス開栓の申し込みをするタイミングは引越しの何日前?
ガスの開始申し込みは、解約申し込み以上に重要です。
なぜなら、ガスの開栓には立会いが必要だからです。
これを忘れると、新居でガスを使うことができません。
ガスの開始申し込みは、解約と同じタイミングで行ってください。そうすれば忘れずに済むはずです。具体的には、引越しの1~2週間前までに行うのがベストです。
とくに繁忙期である3、4月は「ガス開栓の立会い予約」が立て込みます。申し込みが遅れてしまうと希望の日時にガスを開通できないことにもなりかねませんから、早めに申し込みをしましょう。
ガス開栓時に立会いは必要?
前述のとおり、ガス解約のときとは違い、開栓には立会いが必要です。なぜなら、ガスを開通させるときには係員が安全点検をしなければいけないからです。
点検の内容は、以下のとおりです。
ガス開栓時の安全点検
- ガスの種類と器具が合っているか
- ガス警報装置の作動
- ガス漏れの有無
これらをしっかり確認しなければ、ガスを使うことはできません。ガス開栓の立会いは「入居当日」に行うのが一般的です。当日は何かとバタバタしがちなので、しっかりスケジュールを確認しておくことが大切です。
なお、新居がプロパンガスの場合、立会いの際に保証金として1万円程度が必要になります。保証金がいる場合は、開始申し込みのときにガス会社から伝えられるはずですから、入居当日は忘れずに現金を用意しておきましょう。
ガス開栓手続きの流れ
ガス開栓までの大まかな流れは、以下のとおりです。
ガスの開通手順
- ガス開始の申し込み(引越しの1~2週間前まで)
- ガス開栓の立会い(引越し当日)
- ガス料金の支払い方法の指定(引越し後)
ガスの開始申し込みは、電話またはインターネットからできます。そのときに確認されることは、以下のとおりです。
ガス開始申し込みでの確認事項
- 現在の住所
- 引越し先の住所
- 契約者の氏名
- 引越しの予定日時
- 現在使っているガスの種類
もし開始申し込みが遅れて引越し直前になってしまった場合、インターネットでは受け付けてもらえないことがあります。そのときは、電話で申し込むのが一番確実です。
【ガスの開始方法まとめ】
申し込み時期 | 引越し日の1~2週間前まで |
---|---|
手続き方法 | 電話、インターネット |
開栓日 | 入居日 |
立会い | 必要 |
確認事項 | 現在の住所 引越し先の住所 契約者の氏名 引越しの予定日時 現在使っているガスの種類 |
保証金 | プロパンガスの場合は有 |
旧居と新居でガスの種類が違うときはどうする?
普段、何気なく使っているガスですが、ガスにはいくつかの種類があります。大きく分けると、「プロパンガス(LPガス)」と「都市ガス」の2つです。それぞれの特徴は、以下のとおりです。
プロパンガス | 都市ガス | |
供給方法 | ガスボンベを建物に設置してガスを送る | 地中のガスパイプでガスを送る |
料金 | 高い | 安い |
火力 | 強い | プロパンガスより弱い |
種類の数 | 1種類 | 複数 |
実は、ガス機器によってそれぞれ対応するガスの種類は異なります。旧居と新居が同じプロパンガスなら問題ありません。
しかし、「プロパンガスから都市ガス」または「都市ガスからプロパンガス」に変わったり、同じ都市ガスでも種類が変わったりすれば、今まで使っていたいガスコンロやガスヒーターなどが使えなくなります。
このような場合は、ガス機器の「買い替え」や「部品交換」で対処しなければいけませんし、それには費用がかかります。
新居に備え付けのガス機器があれば問題ありませんが、今まで使っていたいガス機器を新居でも使う場合は、ガスの種類に対応しているか事前に確認しておく必要があります。
補足
ちなみに、プロパンガスの料金が高いのは、ガスボンベを運ぶのに運送費や人件費がかかるからです。
しかしながら、地中の配管を通して運ぶ都市ガスに比べて、プロパンガスの仕組みはシンプルですから、「災害時の復旧が早い」というメリットがあります。
そのため、プロパンガスの利用価値が改めて見直されています。
まとめ
引越し時のガス手続きは退去と入居で異なりますが、いずれも電話またはインターネットから簡単にできます。
注意しなければいけないのは、「ガスの開栓には立会いが必要になる」ということです。開栓の申し込みを忘れると、引越し当日にガスが使えなくなってしまいますから気をつけましょう。
引越しにともなう手続きは、何かと多くて面倒に感じるかもしれません。しかし、一つ一つ順番に片付けていけば大丈夫です。ガスの手続きも情報を整理すれば簡単ですから、早めに済ませましょう。