就職や入学、単身赴任、住み替えなど、引越しを予定している人もいるかと思います。単身向けの引越しプランはさまざまですが、その中でも「単身パック」はお得で有名です。
それでは、単身パックとは、どのような引越しサービスなのでしょうか。
単身パックとは、「専用ボックスを使ったコンパクトな引越サービスのこと」です。荷物が少ない単身者向けのプランで、これを利用すれば、かなり費用を抑えられる可能性があります。
ただし、荷物量が専用ボックスに収まらないと、料金がかえって高くなってしまうケースもあります。ですから、「単身パックは必ずしも安いとは限らない」ということは理解しておきましょう。
そこでこのページでは、単身パックのメリット・デメリットや各社の特徴、利用条件、サービスの流れなどを網羅的に解説します。単身パックの利用を考えている人は、ぜひ参考にしてください。
単身パックとは?
単身パック
単身パックとは、「滑車付きの専用ボックスに荷物を積み込んで輸送する引越しサービスのこと」です。簡単に言えば、「宅配便」感覚の引越しプランです。
単身パックを扱っている引越し業者としては、日通やクロネコヤマトが有名です。日通では「単身パック」、クロネコヤマトでは「単身引越サービス」と呼び方がそれぞれ異なりますが、一般的には「単身パック」で認知されています。
単身パックのメリット・デメリット
それでは、単身パックの具体的な特徴について説明します。メリットが非常に多いプランですが、デメリットについてもしっかり理解しておきましょう。
【単身パックのメリット】
- 荷物量に合わせたムダのないお得なプラン
- 料金が安い
- 配達時間帯を指定できる
- 割引特典が用意されている
- 基本的に訪問見積もりは不要
単身パックは引越し料金が安くなる理由
通常では、引越し1件につきトラックを1台チャーターします。しかし、単身パックの場合は、1台のトラックに複数のボックスを載せて輸送します。
つまり、運転手やトラックにかかるコストを抑えることができるため、単身パックの料金は安くなるのです。
また、一般的な引越しでは、訪問見積もりで料金が決まる場合がほとんどです。
しかし、荷物が少ない場合は、電話でも十分に情報が伝えられるため、基本的に単身パックは「訪問見積もり」を必要としません。結果として人件費を抑えられるため、単身パックの安さにつながっています。
【単身パックのデメリット】
- 荷物が多い人には適していない
- 梱包資材の無料サービスがない
- ダンボールの無料回収がない
- 荷物が積みきれないと追加料金が発生する
- 引っ越すのに最低でも2日かかる
単身パックは大きな荷物が運べない
単身パックの専用ボックスはサイズが限られています。ですから基本的には、ボックスに積めるだけの荷物しか運ぶことができません。
積み切れなかった荷物は別で輸送することになりますが、それにはもちろん追加料金が発生します。
荷物が多いと単身パックでも割高になることがある
複数のボックスを利用すれば多くの荷物を運ぶことはできますが、その場合も、料金は2倍3倍と高くなってしまいます。
単身パックはダンボールにかかる費用が有料
また、通常の引越しプランの場合は、ダンボールの支給や回収は無料サービスになっていることがほとんどです。しかし、単身パックの場合は有料になるので、これも大きなデメリットです。
単身パックは近場の引越しでも最短で2日かかる
さらに、単身パックの場合、ほかの荷物と詰め合わせてから輸送するため、引越しにどうしても時間がかかってしまいます。
そのため、単身パックでは当日中に引越しを終わらせることができません。
単身パックは「お得」というイメージが強いですが、場合によっては割高になる可能性もあります。上記のデメリットをしっかり理解したうえで、単身パックを検討しましょう。
単身パックで運べる荷物量の目安
それでは、単身パックは具体的にどのくらいの荷物を積めるのでしょうか。
ここでは、日通が提供する「単身パック」を例として、ボックスに積める荷物量の目安を紹介します。これを参考にすれば、どれくらいの荷物が積めるのか、ある程度は想定しやすくなると思います。
ただ、荷物の種類は人それぞれですから、あくまでも一例として考えてください。
【日通の単身パックで積める荷物量の目安】
単身パックS | 単身パックL | |
ボックスサイズ(横幅×奥行き×高さ) | 108×74×155cm | 108×104×175cm |
荷物量の目安 | 冷蔵庫(2ドア) 薄型テレビ 電子レンジ 掃除機 カラーボックス 姿見鏡 布団 ダンボール4個 | 冷蔵庫(2ドア) 洗濯機 薄型テレビ 掃除機 カラーボックス 衣装ケース 姿見鏡 布団 ダンボール5個 |
このように、単身パックで運べる荷物量には限りがあります。形にバラつきがある小物類は、すべてダンボールに詰めると良いです。そうすれば、荷物がボックス内に収まりやすくなります。
大きめのボックスであれば、家電がある程度そろっていても積むことができます。もしダンボールや家具などが増えても、複数のボックスを用意すれば積みきることは可能です。
単身パックのボックスに積める荷物・積めない荷物
ただし、荷物の種類や大きさによっては、ボックスに積めないものがあります。
ベッド・マットレス
折り畳み式のベッドであれば積み込みは可能です。しかし、組み立て式の場合は、長さがあるので単身パックで運ぶのは難しいです。
一般的なマットレスは、長さが200cm程度のものがほとんどです。それに対して、単身パックの専用ボックスは高いものでも175cm程度しかありません。
したがって、マットレスは単身パックで運べないため、別送品として運ぶことになります。
冷蔵庫
2ドアタイプの冷蔵庫であれば、単身パックのボックスにも積めます。3ドアの冷蔵庫でも、小さいサイズであれば積むことができます。
しかし、家庭用サイズの冷蔵庫になると、単身パックで運ぶのは難しいです。
洗濯機
洗濯機には「縦型タイプ」と「ドラム式タイプ」がありますが、いずれも単身パックで運ぶことは可能です。
ただし、大きいサイズの洗濯機を積むと、ほかの荷物がほとんど積めなくなる可能性があります。その場合は、積めない荷物を別送するか、通常の引越しプランを検討しましょう。
自転車
盲点なのが自転車です。所有している人も多いのではないでしょうか。
単身パックでは、折り畳み式の自転車であれば積めます。通常タイプの自転車も積めないことはありませんが、かさばって他の荷物が積めなくなってしまいます。
ですから、単身パックを利用する場合は、自転車を別で輸送したほうが良いです。
バイク・原付
学生の場合、原付やバイクに乗っている人もいるかと思います。ただ、さすがに原付やバイクをボックスに積むことはできません。
新居までバイクに乗っていくのがベストですが、遠方の場合はそれも危険です。
バイクの輸送は、ほとんどの引越し業者でオプションサービスとして扱われています。新居が遠い場合は、オプションを利用したほうが無難です。
このように、単身パックのボックスには「積める荷物」と「積めない荷物」があります。単身パックにこだわり過ぎると、かえって料金が高くなるケースもあります。
単身パックに適した荷物量かどうかは、見積もりの際に担当者へ相談しましょう。荷物が上手くボックスに収まらない場合は、単身パックではなく、通常の引越しプランを検討したほうが良いです。
単身パック各プランの最安料金(スタート価格)
ここでは、単身パックの料金とボックスサイズを引越し業者ごとに紹介します。
【単身パック料金表・ボックスのサイズ】
■日通 | ||
プラン名 | 料金 | ボックスサイズ(横幅×奥行き×高さ) |
単身パックS | 15,000円~ | 108×74×155cm |
単身パックL(Sの1.6倍) | 16,000円~ | 108×104×175cm(Sの1.6倍の容量) |
単身パックX(Lの3倍) | 51,000円~ | Lの3倍の容量 |
■クロネコヤマト | ||
プラン名 | 料金 | ボックスサイズ(横幅×奥行き×高さ) |
単身引越サービス | 14,000円~ | 104×104×170cm |
単身引越サービスmini | 13,000円~ | 104×104×130cm |
■サカイ引越センター | ||
プラン名 | 料金 | ボックスサイズ(横幅×奥行き×高さ) |
小口便引越サービス ※関東⇔関西の引越し限定 | 要問い合わせ | 105×75×144cm |
■ハトのマークの引越センター | ||
プラン名 | 料金 | ボックスサイズ(横幅×奥行き×高さ) |
小鳩パック
※片道200km以上の遠距離輸送専用 | 20,000円~ | 110×80×170cm |
青春引越便
※片道200km以上の遠距離輸送専用 | 要問い合わせ | 105×105×180cm |
単身パックの料金は、引越しの移動距離によって異なります。また、荷物量によってボックスの数が増えると、それに応じて料金も2倍、3倍と高くなります。
条件によっては、お得なはずの単身パックが、かえって割高になってしまうケースもあります。ですから、見積もりの際は、単身パックを含め、最適なプランを提案してもらえるよう相談に乗ってもらうことが大切です。
単身パック料金の割引・割増条件
単身パックは、荷物が少ない人にとってはお得に引っ越せる可能性のあるプランです。ただし、割引もしくは割増条件によって、単身パックの料金は変動します。
単身パックにおける主な割引・割増条件は、次のとおりです。
単身パックの割引特典
単身パックを提供している引越し業者ごとに、さまざまな「割引特典」が用意されています。
業者ごとの特典の種類と割引額は、以下のとおりです。
【割引特典の種類】
業者名 | 割引特典の種類 | 割引き額 |
日通 | WEB割引 | -2,000円 |
複数ボックス割引 | -1,000円 | |
エリア割引 | -1,000円 | |
クロネコヤマト | WEB割引 | -2,000円 |
複数ボックス割引 | -1,000円 | |
平日割引 | -2,000円 | |
早期割引 | -1,000円 | |
ハトのマークの引越センター | 複数ボックス割引 | -1,000円 |
これらの割引特典を上手く組み合わせることで、単身パックの料金はさらに安くなります。とくに「WEB割引」や「平日割引」は値引き額が大きいため狙い目です。
単身パックの割増条件
ただし、下記のような条件では、料金が割増しに設定している業者もあります。
【料金の割増条件】 |
夜間配達 土日祝日配達 3月下旬~4月上旬(引越しシーズン)の配達 |
これらの条件では、通常の単身パックより3~5割ほど高めの料金設定になることがあります。
曜日や時間帯であれば、ある程度は調整ができると思います。本来、安いはずの単身パックですから、できるだけ割増条件は避けて依頼するのがポイントです。
単身パック利用時の流れ
単身パックを利用するときの流れは、通常の引越しプランの時とほとんど変わりません。簡単に、単身パックの流れを理解しておきましょう。
【単身パック利用時の流れ】 |
引越し前 単身パックを提供している引越し業者を選ぶ電話またはインターネットから申し込む 小物を箱詰めする ※引越し前日までに自分で行う 引越し当日 家具家電の梱包、荷物の搬出(旧居)輸送 翌日以降 荷物の搬入、家具家電の解梱・設置(新居)荷物の箱開け ※自分で行う |
家具・家電の梱包、解梱、設置はすべて引越し業者が行ってくれます。ただ、小物の荷造りは自分で行います。当日の作業がスムーズに進むよう、前日までには荷造りを済ませておきましょう。
もし荷造りが終わっていなくて作業に遅れが生じてしまうと、追加料金が発生する可能性があります。ですから、スタッフが集荷に来るまでには荷造りを確実に終わらせましょう。
単身パックは配達が翌日以降になる
ここで最も注目するべき点は、荷物が新居に配達されるタイミングです。
上記の説明でもありましたが、単身パックは荷物が新居に届くのが「翌日以降」になります。
もちろん、輸送距離に応じて翌々日以降になる可能性もあります。つまり、単身パックは「日をまたいだ引越しになる」ということです。
どうしても当日中に引越しを終えたい場合は、単身パックではなく、トラックをチャーターできる「通常の引越しプラン」から検討しましょう。
単身パックは配達時間が指定できる
単身パックの大きなメリットとして「時間帯指定」があります。まさに「宅配便感覚」の引越しです。
【指定できる配達時間帯】
日通 | クロネコヤマト |
9:00~12:00 12:00~16:00 16:00~18:00 18:00~21:00 | 午前中 12:00~15:00 15:00~18:00 18:00~21:00 |
単身パックは、配達時間を指定できるのが嬉しいポイントです。忙しい人でも、スケジュールに合せて配達時間を選べます。ただし、時期や地域によって、「午前」と「午後」のどちらかしか指定できないケースもあるので注意しましょう。
時期や地域によって集荷時間が指定できない場合もある
しかしながら、繁忙期は予約が集中するため、集荷時間が指定できないケースもあります。また、地域によっても、自由に指定できない場合があります。
引越しのケースによっては非常に不便になる可能性があるので、集荷時間が指定できるかを良く確認しましょう。
単身パックは荷物の梱包をどこまでやるの?
「単身パックが安いのはいいけど、梱包はしてくれるの?」と疑問に思う人もいるかもしれません。
通常の引越しプランと同様、家具や家電の梱包においては業者スタッフが行ってくれます。ですから、単身パックだからといって、自分の作業負担が増えるということはありません。
ただし、小物類の箱詰めは自分で行うことになります。
なお、「洗濯機などの取り外し」も有料オプションになることがあります。
どこまで対応してくれるかは業者によって異なるため、「自分でやらなければいけない作業範囲」は見積もりのときに確認しておくと良いです。
ちなみに、荷造り・荷解きをすべて業者にお任せすることもできますが、オプションサービスとして追加料金が発生します。
ですから、費用を節約することを考えると、ダンボールの箱詰めくらいは自分でやることをオススメします。
単身パックの依頼方法
ここまでは、単身パックの特徴や、メリット・デメリットについて解説してきました。
それでは、実際に単身パックを申し込みたい場合は、どうすれば良いのでしょうか?
単身パックの申込みはカンタンです。希望する引越し業者のホームページにある「申込みフォーム」から見積もりを依頼するだけです。
基本的に、単身パックの場合は、訪問見積もりを必要としません。ですから、申込み後、業者のほうから電話がかかってきて、そのまま見積もりの流れになると思います。
その際に、以下の情報が求められます。
申し込み時の必要事項 |
現住所 新住所 希望する引越予定日 荷物情報(家具・家電の種類や寸法、ダンボールの数など) |
見積もりの際は、荷物情報の申告漏れに注意!
単身パックは訪問見積もりが必要ない代わりに、荷物情報はすべて自分で申告しなければいけません。荷物情報に漏れがあると、「追加料金」や「積み切れない」といったトラブルの元になります。
口頭で荷物情報をスムーズに伝えられるよう、あらかじめ家具や家電のサイズを測り、ダンボールの数がいくつになるのかも把握しておく必要があります。
ここを適当にやってしまうと、当日、ボックスに荷物が積み切れないという事態になり、追加料金が発生するのは避けられません。見積もりが安くても、これでは本末転倒です。
ですから、単身パックの見積もりの際は、荷物情報を可能なかぎり丁寧に伝えるのが肝心です。
まとめ
今回は、単身パックについて網羅的に解説してきました。
単身パックは、「荷物が少ない一人暮らし」にはとても便利なプランです。トラックを1台チャーターして引越しするよりは、料金をかなり安く抑えることができると思います。
ただ、単身引越しでも、荷物が多い場合はおすすめできません。通常の単身引越しプランより単身パックのほうが、かえって料金が高くなってしまう可能性があるからです。
いずれにしても、「できるだけ安く引越しをしたい!」と考えているのであれば、複数社から見積もりを取って比較することが重要です。そのうえで各社から最適なプランを提案してもらえば、一番安くて納得のいく引越し業者が見つかるはずです。
その際は、見積もりをカンタンに比較できる「一括見積もりサービス」を必ず使いましょう。無料サービスなので、安心して好条件の引越し業者を選ぶことができます。