賃貸アパート・マンションに住んでいる場合でも、自分で購入したエアコンを設置して使っている人もいるかと思います。引越しの際は、そのエアコンは取り外す必要があります。
その場合、エアコンの移設工事はどこに依頼すれば良いのでしょうか。また、費用はいくらかかるのでしょうか。
エアコンの移設作業は「引越し業者」または「専門業者」に依頼できます。それぞれにメリットがあるので、その違いを理解したうえで選びましょう。
ただし、エアコンが古かったり新居の広さに合っていなかったりする場合は、引越しのタイミングで買い替えを検討するのも一つの選択肢です。
ここでは、エアコンの移設費用や段取り、注意点について詳しく説明します。新居の設置環境によっては追加料金が発生するケースもありますから、しっかりポイントを押さえておきましょう。
エアコン移設工事の依頼先は「引越し業者」と「専門業者」の2つ
引越しの際、「エアコンの取り外し・取り付けはどこに依頼するの?」という疑問が出てくるかと思います。
エアコン移設は「引越し業者」または「専門業者」のどちらかに依頼することになります。それぞれのメリット・デメリットは、以下のとおりです。
エアコン移設を「引越し業者」に依頼するメリット・デメリット
引越し業者にエアコン移設を依頼すれば、手続きや支払いが一度で済むため、手間がかかりません。さらに、入居と退去のタイミングに合わせてエアコンの移設を行ってくれるため、段取りとしては非常にスムーズです。
引越し業者に依頼した場合、「提携している専門業者」もしくは「引越し業者の電気工事担当スタッフ」のどちらかが作業を行います。いずれにしても、専門業者に直接エアコン移設を依頼するよりは料金が高くなる傾向にあります。
エアコン移設を「専門業者」に依頼するメリット・デメリット
専門業者に依頼するメリットは「料金の安さ」です。大幅に値下がりすることはありませんが、それでも引越し業者に依頼するよりは安くなる可能性があります。
また、専門業者に依頼する場合、「引越し」とは別で「エアコン移設」の見積もりや手続きが必要になります。
ですから、手間を考えると引越し業者のほうがオススメです。
なお、自力で引越し作業をする場合は、引越し業者のオプションサービスは利用できません。その場合は、専門業者を探してエアコン移設を依頼することになります。
料金の安さを選ぶなら専門業者
どちらに依頼するかを決める際、1つのポイントになるのが「料金」です。引越しにかかる料金を少しでも抑えたいのであれば、エアコン移設は「専門業者」に直接依頼すると良いです。
ただし、移動距離によっては料金が高くなってしまうケースもあるので注意してください。
手間を考えるなら引越し業者
しかしながら、引越し前というのは、「役所手続き」「退去手続き」「荷造り」などに追われて忙しくなります。ですから、「できるだけ手間をかけたくない」という人は、引越し業者にエアコン移設をお願いしましょう。
エアコンの移設作業を自分で行うと故障の危険性がある
エアコンの取り外し・取り付けには意外と費用がかかります。そのため、「エアコンを取り外すくらいなら自分でやってみよう」と考える人もいるのではないでしょうか。
エアコンの設置はシンプルに見えますが、実は専門知識がないとできない作業です。たとえば、エアコンの移設には、以下のような特殊作業があります。
エアコン脱着時の特殊作業
- 冷媒ガスを室外機の中へ漏れないように回収する
- パイプを通していた穴を塞ぐ・開ける(物件によっては不要)
- 壁に背面版を水平に取り付ける
- 取り付け時に配管の空気を抜く
- コンセントの交換・ガスの補充(場合による)
このように、エアコン移設には専門知識が必要になります。ですから、実は危険な作業なのです。
自分で強引に取り外したり取り付けたりすると、「ガス漏れ」や「エアコン落下」の恐れがあります。場合によっては、エアコンが故障してしまい、買い替えることになる可能性もあります。
もちろん、エアコンの移設作業を業者に依頼するとなると費用がかかります。ただ、自分で行うのは難しいので、業者にやってもらったほうが確実です。
エアコン移設費用の相場~取り外し・取り付け工事の料金はそれぞれいくら?
ただ、気がかりなのは、エアコンの移設費用です。果たして、エアコン移設にはいくらかかるのでしょうか。
エアコンの取り外し・取り付け料金は、以下の相場を参考にしてください。
【エアコン移設費用の相場】
作業内容 | 料金相場 |
取り外し | 5,000~10,000円程度 |
取り付け | 10,000~15,000円程度 |
したがって、エアコンの移設には15,000~25,000円程度かかります。この金額の幅は、主に「作業内容」や「依頼する業者」によるものです。
たとえば、室外機を特殊な場所に設置しなければいけない場合は、料金が相場より高くなります。また、安さを売りにしている専門業者では、取り付け・取り外しセットで10,000円以下の料金で提供しているところもあります。
なお、エアコンの移設費用を提示してもらうには、基本的に「見積もり」が必要になります。これは、引越し業者と専門業者のどちらを利用しても同じです。
エアコンの移設費用は業者によって異なります。
場合によっては、料金に大きな差が生じることもあるため、できるだけ複数社の見積もりを比べるようにしてください。
エアコン移設費用は追加料金に要注意!
注意しなければいけないのは、「エアコン工事は追加料金が発生しやすい」という点です。
たとえば、追加料金が発生するのは、以下のようなケースです。
追加料金が発生するケース
- 配管パイプが劣化していて交換する必要がある
- エアコンと室外機との距離が遠くなり、今までのパイプでは届かない
- 壁にパイプを通す穴がないため、穴開け作業が必要になる
- 室外機を置くスペースがなく、特殊な設置方法が必要になる
- 冷媒ガスを補充する
- コンセントの種類が違うため交換する必要がある
エアコン移設にかかる費用は作業内容によって異なります。基本作業(取り外し+取り付け)だけを依頼していても、当日になって追加作業が必要となる場合もあります。そうなれば、追加料金は避けられません。
作業内容によっては数万円の追加料金を請求されるケースもありますから、依頼するときは十分に注意してください。
エアコン移設工事で追加料金を防ぐための対策
追加料金を避けるためには、見積もりのときに「新居のエアコン設置環境」を詳しく伝えておくことが重要です。そのためには、新居へ見学に行った際、以下のポイントを確認しておきましょう。
新居のエアコン設置環境で確認しておくポイント
- 室外機の設置スペース
- パイプを通す穴の有無
- エアコン本体を設置する場所
- コンセントのタイプ
見積もり時に「新居のエアコン設置環境」を詳しく伝える
詳しく伝えるためには、これらのポイントを写真に撮っておくことをおすすめします。設置環境をできるだけ詳しく伝えることができれば、正確な見積もりがとれるので、結果的に追加請求は避けられます。
ただ、「エアコンの設置環境はチェックしていない」または「新居は見学せずに決めた」という人もいるかと思います。その場合は、管理会社に連絡して、上記のポイントについて聞いておきましょう。
追加作業をすべて含めたパックプランを検討する
また、「追加料金が発生する工事をすべて含めたパックプラン」を用意している業者もあります。基本作業だけを依頼するよりは割高になりますが、それ以上の追加料金はかかりません。
「追加料金は払いたくない」という人は、そのようなパックプランを利用すると安心です。
エアコンを設置する前に新居の管理者に必ず許可を取る
なお、エアコンを新居に設置する場合は、管理会社または大家さんから必ず許可をもらうようにしてください。
今ではあまり見かけませんが、「エアコンのパイプを通す穴が開いていない物件」は特に注意が必要です。
その場合、エアコンを設置するためには壁に穴を開けることになります。
しかし、管理者に許可をもらわずに穴を開けてしまうと、「退居時に高額な修繕費を請求された」などのトラブルにつながる恐れがあります。
ですから、エアコン設置の許可は必ず事前に取っておきましょう。
引越しのタイミングでエアコンを買い替えるのもアリ
ちなみに、古いエアコンを使っている場合は、引越しのタイミングで買い替えを検討してみるのも良いと思います。エアコンの買い替えを検討するときは、以下のポイントを確認してみましょう。
一般的に、エアコンの耐用年数は10年が目安と言われています。つまり、エアコンは10年を超えると、部品交換や故障などのリスクが高まります。エアコンの下に「製造年」が書かれているのでチェックしてみましょう。
製造から10年以上経過したエアコンですと、「新居に設置したのは良いけど、すぐに故障した」という可能性もあります。修理が可能だとしても、部品交換などの費用が必ずかかります。
取り付けに費用がかかった上、さらに修理費が発生するとなると、「買い替えたほうがお得だった」ということも考えられます。ですから、まずは製造年を確認したうえで、買い替えを検討してみましょう。
新居の部屋の広さに対応しているか
エアコンには、ある程度「対応できる部屋の広さ」というのが決まっています。
たとえば、「広い部屋用のエアコン」を狭い部屋で使うと、冷暖房が効きすぎてしまいます。また、「狭い部屋用のエアコン」を広い部屋で使うと、無理な運転になるため電気代が高くなります。
ですから、現在使っているエアコンが新居の広さに合っているかも確認しておくと良いです。場合によっては、エアコンの買い替えを検討する必要があるかもしれません。
新居への設置は可能か
エアコンのタイプまたは新居の設置環境によっては、今まで使っていたエアコンが設置できない可能性もあります。
エアコン用のコンセントやパイプ穴が設備されている物件であれば、よほど問題ないと思いますが、心配であれば引越し業者や電気屋に相談してみましょう。
現在使っているエアコンを新居に移設するにしても、取り外し・取り付けには費用がかかります。「パイプの交換」や「ガスの補充」などの作業が必要になれば、追加料金がかかります。古いエアコンの場合は、さらに部品交換などの費用がかかることも考えられます。
移設費用が高額になる場合、あと少しお金を出せば新品のエアコンが買える可能性もあります。最近のエアコンは、「省エネ」「自動掃除」など、機能的に優れている商品が多いです。ですから、引越しのタイミングでエアコンを買い替えるのも一つの選択肢です。
不要になったエアコンの処分方法
ここまでは、引越しにともなうエアコン移設について説明してきました。しかしながら、新居に備え付けのエアコンがある場合は、今まで使っていたエアコンがいらなくなることもあります。
そのような場合、エアコンはどのような方法で処分すれば良いのでしょうか。
まだ使えるエアコンを処分する場合
エアコンが問題なく使えるのであれば、リサイクルショップに買い取ってもらうのが良いです。一度査定してもらい、買取り価格がつけばラッキーです。
ただし、取り外しや運搬に別途料金がかかる可能性があります。ですから、「買取り価格」と「作業費用」を比べて、損がないか必ず確認することが肝心です。
古いエアコン・使えないエアコンを処分する場合
買い取ってもらえないエアコンは、「家電販売店」もしくは「回収業者」に依頼して処分してもらいましょう。それには、「家電リサイクル料金」「運搬費」「出張費」などに4,000~6,000円程度の費用がかかります。
エアコンの処分方法については、次で記事に詳しく解説しています。
なお、回収業者のなかには、「エアコンを無料で回収します」というところがあります。
しかし、エアコンを処分する際に、「家電リサイクル料金」がかからないというのはあり得ません。
そのような無料回収業者は、収集や処理を無許可で行っている可能性があります。
エアコンを処分するときは、そのような業者に依頼しないよう注意してください。
自分で購入したエアコンを旧居にそのまま置いていくことはできるの?
不要になったエアコンでも、まだ使えるのであれば、そのまま置いていくことは可能でしょうか。
管理会社や大家さんにとってはタダでエアコンが手に入るわけですから、メリットがあるように思えます。
しかし、置いていったエアコンは「物件の設備」という扱いになるため、故障した場合は管理者に修理する義務が生じます。したがって、「中古のエアコンをそのまま引き取る」ということは、管理者にとってはデメリットでもあるのです。
退居時には原状回復の義務がある
そもそも、あなた(借り主)には「原状回復」の義務があります。
これは破損や汚損の修繕だけでなく、「入居後に自分で取り付けたものは、最初の状態に戻して明け渡さなければいけない」という決まりです。
したがって、自分でエアコンを付けた場合は、退去するときに取り外すのが本来のルールです。
ただ、管理会社や大家さんに「エアコンをそのまま置いていってもいいですか?」と相談してみても良いと思います。エアコンが問題なく使える状態であれば、置いていくことを許可してもらえる場合があります。
カビ臭いエアコンは移設時にクリーニングするのがオススメ!
エアコンは普通に使っていても汚れやホコリが溜まるものです。しかし、そのままにしておくと、「カビが生える」「冷暖房の効きが悪くなる」などの問題の原因になります。悪臭がしたり、エアコンに結露がついたりする場合は、汚れが溜まっている可能性が高いので要注意です。
引越しのときはエアコンを一度取り外すため、クリーニングするのに良い機会です。カビ臭などエアコンの不調に気づいたら、引越しのタイミングでクリーニングも検討してみることをおすすめします。
まとめ ~エアコン移設工事の依頼業者と費用の相場~
今回は、引越しのときのエアコン移設について説明してきました。
作業の依頼先は「引越し業者」または「専門業者」のどちらかです。
- 「専門業者」のほうが料金は安い可能性があります。
- 手間や引越しの段取りを考えると、「引越し業者」に依頼するほうが良いです。
ただ、私としては、引越し業者にお願いするほうがオススメです。見積もりや手続きの手間もかかりませんし、引越しと同じタイミングで脱着してくれるので生活にも困りません。
とはいえ、エアコンの移設費用は決して安くはありません。業者によっても料金に差が生じるので、各社の料金を必ず比べたうえで依頼先を決めましょう。
その際は、複数の引越し業者からまとめて見積もりが取れる「一括見積もりサービス」が便利です。無料で各社の料金やサービス内容を比較できるので、業者選びのときには欠かせないサービスです。