引越しにともなう手続きはさまざまありますが、自転車においても何か手続きが必要なのでしょうか。
引越しをする場合は、自転車の防犯登録を変更しなければいけません。防犯登録は、「自転車の所有者を証明するためのもの」でもありますから、忘れずに手続きをしておきましょう。
ここでは、引越しのときに必要となる「自転車防犯登録の変更手続き」について解説します。
自転車の防犯登録とは
そもそも、自転車の防犯登録とは何なのでしょうか。ここが分からないと、その重要性も理解しにくいと思います。
まずは、防犯登録の基礎的なことについて説明します。
防犯登録とは、「自転車の所有者を証明するためのもの」です。その登録情報は、それぞれの都道府県ごとに管理されています。
また、自転車の所有者を証明する書類に「自転車防犯登録カード」というものがあります。これは、車で言うと「車検証」のようなものです。
防犯登録の主な目的は、自転車の「盗難防止」と「安全利用」を促進するためです。具体的には、自転車の防犯登録することで、以下のようなメリットがあります。
自転車防犯登録のメリット
- 自転車の所有者であることを証明できる
- 自転車の盗難を防ぐ効果がある
- 自転車が盗難・撤去された場合でも、手元に戻りやすくなる
自転車を購入するときに、そこのお店で必ず防犯登録をしてから渡されます。ですから、最初から自転車の防犯登録がされていないということはあり得ません。
しかし、「引越し」や「譲渡」などで、所有者の情報に変更があった場合は注意が必要です。登録情報をそのままにしておくと、あなたが自転車の所有者であることを証明できない可能性があります。
【筆者の体験談】もらったママチャリに乗っていたら職質を受ける編
私は以前、住んでいたアパートの大家さんから、駐輪場に放置されたママチャリを譲ってもらったことがあります。その際、防犯登録のことを安易に考えており、変更手続きなどはしませんでした。
ところが、そのママチャリに乗って街を走っていたら、風貌と自転車があまりにも似つかわしくなかったのか、警察に止められて職務質問を受けました。
譲ってもらった自転車とはいえ、登録変更をしていなかったので、「盗難したと間違えられるのではないか」とヒヤヒヤしたのを覚えています。
そのときは、事情を説明したら事なき終えましたが、防犯登録の重要性を痛感した出来事でした。
このように、自転車を自分のものと証明できないと、最悪の場合、「盗難車」として見なされてしまいます。そのような事態を防ぐためにも、防犯登録の変更手続きは忘れずに行いましょう。
自転車の防犯登録の変更手続き
したがって、自転車を所有している人は、引越しの際に「防犯登録の変更手続き」が必要です。
ただし、「都道府県外に引っ越す場合」と「同一都道府県内で引っ越す場合」で手続きが異なります。該当するほうを、以下で確認しましょう。
なお、防犯登録の手続きは「自転車防犯登録取扱店」で行えます。難しく聞こえますが、一般的な自転車販売店のことです。
県外に引っ越す場合は、防犯登録の抹消・再登録手続きが必要
実は、自転車防犯登録の情報は、全国で共有されているわけではありません。つまり、それぞれの都道府県で情報を管理しています。したがって、県外に引っ越す場合は、そこで改めて自転車の防犯登録が必要になります。
ただし、そのままでは再登録できません。その前に、自転車の購入地(現住所地)で「防犯登録の抹消手続き」が必要になります。その上で、新住所地に引越してから、再び防犯登録することになります。
「抹消手続き」と「再登録」に必要はものは、以下のとおりです。
抹消手続きに必要なもの |
自転車本体 自転車防犯登録カード 身分証明書(運転免許証、健康保険証など) |
再登録に必要なもの |
自転車防犯登録変更・転送届(抹消手続きの際にもらえます) 自転車本体 身分証明書(運転免許証、健康保険証など) |
- 【引越し前】現住所地での抹消手続き
- 【引越し後】新住所地での再登録
この手順で進めれば、自転車の引越し手続きは完了です。
引越し前に防犯登録の抹消手続きを忘れずに行う
基本的に、抹消手続きは「防犯登録されている都道府県」で行います。抹消手続きをしないでそのまま引越してしまうと、引越し先で再登録できない可能性があります。ですから、引越し前には、「防犯登録の抹消手続き」を忘れないように気をつけましょう。
同一都道府県内で引っ越す場合は、防犯登録の住所変更が必要
同じ都道府県のなかで引越しをする場合は、手続きは至ってシンプルです。自転車販売店に行き、「防犯登録の住所変更」をすれば、それで完了です。
住所変更に必要なものは、以下のとおりです。
防犯登録の住所変更に必要なもの |
自転車本体 自転車防犯登録カード 身分証明書(運転免許証、健康保険証など) |
手続きの期限はとくにありませんが、引越し後、できるだけ早めに済ませておきましょう。忘れてそのままにしておくと、いざ自転車の盗難に遭ったとき、届出などの手続きが面倒になることがあります。
自転車販売店に行く前に、防犯登録に対応してくれるか確認しよう
自転車販売店(自転車防犯登録取扱店)のなかには、そこで購入した自転車だけしか防犯登録に対応してくれないところがあります。引越し後、そのようなお店で防犯登録の「再登録」や「住所変更」をお願いすると、手続きを断られるケースがあります。
その理由は、盗難車の防犯登録を防ぐためです。なかには、盗んだ自転車を再登録して、自分のものにしようとする人がいるのでしょう。そのことを考えれば、「自店で販売している自転車」以外の防犯登録に対応していないのも納得できます。
ですから、引越し後、自転車屋さんで防犯登録の「再登録」や「住所変更」をするときは、それらの手続きに対応してくれるか事前に確認しておくと良いです。そうすれば、「自転車屋さんに行ったのに対応してもらえなかった・・・」という面倒ごとは避けられます。
自転車の防犯登録を変更しないと罰則があるの?
引越しの際に、自転車の防犯登録を変更しなくても「罰則」はありません。ですから、変更しないでそのままにしておく人がいるのも事実です。
しかし、自転車の登録情報を変更しないと、盗難・撤去のときに所有者確認で時間がかかってしまいます。場合によっては、それが原因で自転車が手元に戻らないケースもあります。
また、もし自転車を乗っているときに職務質問された場合、それが自分のものと証明できないと、「盗難車」として疑われる可能性もあります。
実際に私も、譲ってもらった自転車を乗っているときに職務質問されたことがあります。
このようなケースは稀かもしれません。しかし、防犯登録をきちんと変更しておけば、「盗難のリスクが減る」「盗難されたときに見つかりやすい」というメリットがあります。ですから、引越しの際は、自転車防犯登録の変更手続きを忘れずにしましょう。
自転車防犯登録の有効期限に注意
ちなみに、自転車の防犯登録には有効期限があり、一般的には5~10年になります。自転車防犯登録カードの裏面を見れば有効期限が書いてあるので、一度確認しておくと良いです。
なお、有効期限が切れると、何もしなくても防犯登録は抹消されます。
自転車の防犯登録をするのは乗る人の義務で、抹消されたまま乗っているのは違反になります。もし有効期限を確認して切れていることに気づいたら、速やかに自転車販売店などで防犯登録をする必要があります。
不用になった自転車を処分する方法
ここまでは、自転車の防犯登録の変更手続きについて説明しました。
ただ、なかには「もう自転車がボロボロだから処分したい」という人もいるかと思います。そのような場合は、次の2つの処分方法を検討してみましょう。
自転車の処分方法
- 粗大ゴミに出す
- 近所の自転車屋さんに引き取ってもらう
自転車を粗大ゴミとして処分する場合
粗大ゴミとして捨てる場合は、あからじめ自治体で予約する必要があります。また、役所またはコンビニで「粗大ゴミ処理券」を購入する必要があります。自転車のサイズにもよりますが、処分費用は1,000円前後です。
なお、収集日が予約してから1~2週間後になる可能性もあります。場合によっては、引越しまでに処分が間に合わないこともあるため、自転車を粗大ゴミとして処分したい場合は、早めに予約することを心がけてください。
近所の自転車屋さんに引き取ってもらう場合
また、近所に自転車屋さんに持っていけば、処分したい自転車を引き取ってもらうこともできます。そのとき、処分費用として1,000~2,000円程度かかります。
粗大ゴミとして処分するよりは、費用が高くなる可能性もあります。ただ、「その場ですぐに引き取ってもらえる」というメリットがあるので、手っ取り早く処分したい場合には適しています。
自転車を処分する際に、防犯登録はどうする?
自転車を処分するにしても、「防犯登録はどうするの?」というのが気がかりです。
ただ、前述のとおり、防犯登録には有効期限があります。その有効期限が過ぎれば、防犯登録は勝手に抹消されます。ですから、自転車を処分する際は、とくに防犯登録の手続きをしなくても問題ありません。
もし心配なようであれば、自転車屋さんに持っていって、防犯登録の抹消手続きをお願いしましょう。ただ、自転車の現物が必要になるため、処分するまえに手続きする必要があります。
引越しの際、不要になった自転車を譲渡する場合の手続き
一方で、引越しで不要になる自転車を、友人などに譲り渡すのもひとつの方法です。その場合、自転車の所有者を「あなた」から「友人」に変更する必要があります。ただし、「名義変更」ではなく「再登録」になります。
手続きの流れは、以下のとおりです。
自転車を譲渡するときの手続きの流れ |
「自転車本体」と「自転車防犯登録カード」を友人に渡す 友人が上記2点と「身分証明書」を持って自転車販売店に行く 防犯登録の抹消・再登録を行う |
自転車だからといっていい加減に考えていると、いざというとき「自転車の所有者」を証明することができません。そのときに困るのは友人のほうですが、譲渡するほうにも責任はあります。
自転車を譲り渡すときは、防犯登録カードもいっしょに渡し、変更手続きをきちんとお願いしておきましょう。
まとめ
ここまでの説明で、引越しにともなう自転車防犯登録の変更について理解できたかと思います。
「わざわざ自転車の手続きが必要なの?」と面倒に感じるかもしれません。ただ、自転車屋さんに行けば、すぐに終わることです。
他県に引っ越す場合は、現住所地で「防犯登録の抹消手続き」が必要になります。引越したあとでは手続きできないことも考えられますから、忘れないように注意してください。