現在、病気やケガなど、何らかの事情で病院に通っている人もいるかと思います。また、持病で定期的に通院している人もいるはずです。引越しをすることになった場合、治療をどのように続ければ良いでしょうか。
もちろん、今までの病院に通える距離の引越しであれば、そのまま治療を続けることができます。しかし、引越して遠くなると、今までどおり通院するのが難しくなります。
その場合は、引越し先で新たに「かかりつけ医」を探すことになります。
ここでは、「転院の進め方」や「引越し先の病院を探す方法」について説明します。
治療中の病気がある場合、転院してもカルテの内容は引き継いでもらえるの?
ある程度、病院との相性がありますから、かかりつけ医を変えるのに不安を感じると思います。今までどおり、同じ病院に通えれば良いのですが、引っ越すとなるとなかなかそうはいきません。
その場合、今まで続けてきた治療はどうなるのでしょうか。
今までの病院に通えない距離のところに引っ越す場合は、転居先のエリアで通える病院を新たに探す必要があります。
ただ、また一から検査して治療するのは時間や費用の無駄になります。ですから、症状や治療の経過などの情報を新しい病院の先生に詳しく伝える必要があります。
引っ越す前に通院中の病院で紹介状を書いてもらう
そこで必要になるのが「紹介状」です。正式には「診療情報提供書」といい、「処方されていた薬」や「これまでの治療の経過」などが書かれています。
その紹介状を新しい病院の先生に渡せば、その情報をもとに治療を続けることができるので安心です。必要に応じて、レントゲン写真や検査データなどの資料も紹介状といっしょに渡します。
紹介状は、現在通っている病院の先生にお願いして書いてもらいます。紹介状がもらえるまで数日かかることがあるため、引越し前のできるだけ早めにもらっておくと良いです。
【転院先が決まっている場合】
その病院宛に紹介状を書いてもらう
【転院先が決まっていない場合】
病院名なしの紹介状を書いてもらう ※どこの病院に持参しても構いません。
今通っている病院の先生に何て言えば良い?
今までお世話になった先生に紹介状をお願いするとき、「何て言えば良いの?」と気にする人がいます。別の病院を紹介してもらうのに抵抗を感じるからだと思います。
ただ、医者にとって紹介状を書くのは良くあることです。ましてや引越しが理由ですから、仕方のないことです。
その際は、「引越しをするので、もしご存じでしたら病院を紹介してもらえませんか?」と伝えましょう。
そうすれば、引越し先の地域で病院を紹介してもらえるかもしれません。
もし紹介できる病院を知らなくても、医者のつながりで探してもらえる可能性もあります。
紹介状をもらうのに費用はかかる?
ただ、紹介状を書いてもらうには費用がかかります。保険が適用されますが、負担額としては1,000円前後になると思います。
病院によって紹介状にかかる費用は異なるため、心配なようであればかかりつけ医に直接確認しましょう。
引越し先でかかりつけ医を探す方法
最も気がかりなのが「引越し先の病院をどこにするか」という点です。紹介状があれば問題ありませんが、「本当に大丈夫かな」と心配になるものです。
引越し先で病院を探すには、以下の方法があります。
引越し先の病院の探し方
- 現在通っている病院に紹介してもらう
- インターネットで検索する
- 地元の人に相談してみる
引越し先の病院は、これまで通っていた病院の先生に紹介してもらうのが一番安心できると思います。ただ、小さな診療所やクリニックなどは繋がりがなくて紹介できない場合もありいます。
その場合は、インターネットで検索してみるのが一番早いです。候補となる病院の場所や診療時間なども合わせて確認することができます。また、病院に直接問い合わせをして、治療が可能かどうかを聞いてみるのも良いと思います。
急ぎでなければ、引越してから近所の人の評判を聞いてみるのも良いかもしれません。もちろん、その人の主観が入りますが、色々な情報を聞けると思います。
ちなみに、インターネット上の評判はあまり当てにならないので注意してください。
引越し先(新居)を決める際は病院の場所もチェックしよう
また、いざというときに病院が通いやすい場所にあるかも重要です。ですから、病院の場所をチェックしたうえで、引越し先を決めると良いです。
一人暮らしの場合
一人暮らしの場合は、風邪などで病気になっても、自分で病院まで行くしかありません。通院のときにタクシーなどを使う可能性もありますから、それだけ出費が大きくなってしまいます。
【筆者の体験談】いざ病気のときに困る編
私が20歳で初めて一人暮らしを始めたとき、病院のことはあまり気にせず新居を決めました。
しかし、いざ病気になると、まず「病院の場所が分からない」という問題がありました。探してみると場所は近くなく、電車などの交通の便がないのも困りました。
タクシーで行くにしてもいくらかかるか分かりませんし、当時の私は病気のときですら「タクシー代がもったいない」と考えたものです。
結局、無謀にも体調不良のなか、30分もかけてヨタヨタと病院まで歩いたのを覚えています。
余談になりましたが、「健康だから大丈夫」と思っても、いざ病気になると困ります。ですから、新居を決める際は、近所の診療所やクリニックの場所をチェックしておくことが大切です。
子どもがいる場合
子どもがいる場合は、急病などですぐに病院へ向かわなければいけないケースもあります。ですから、「引越し先の近くに病院があるか」というのは重要なポイントになります。
もちろん、小児科がある病院でなければいけません。さらに、緊急のときのために「夜間診療」を行っている病院があればベストです。
引越しの際に「かかりつけ医」を大病院に変更することは可能か
引越し先の病院を探すとき、「どこの病院が良いのか分からない」という不安があると思います。大病院であれば安心ですから、そのような病院へ転院を希望する人も多いです。そのため、大病院には患者があふれてしまっているのが実情です。
大病院は「高度な専門医療」を提供するのが本来の役割です。もちろん、そのような治療や検査が必要な人は、現在通っている病院の先生に紹介状を書いてもらう必要があります。
しかし、症状が軽い場合は、一旦、近所の診療所やクリニックで診察してもらうのが基本です。その上で、大病院での診察が必要となれば、紹介状を書いてもらうのが本来の流れです。
紹介状なしで大病院に行くと費用が高額になる
基本的に、大病院で診察を受けるときは紹介状が必要になると考えておいてください。
大学病院など入院用のベッド数が200床以上ある大病院では、「紹介状なし」の診察に特別料金がかかります。相場としては2,000~5,000円程度ですが、高ければ8,000円程度かかる病院もあります。
【筆者の体験談】紹介状なし!大病院の初診で高額請求編
私が21歳のとき、メニエール病(耳の病気)にかかりました。
経験したことないほど目まいで、心配になり、すぐに近くの大学病院で診察を受けました。
ただ、紹介状もないもないので、初診料が10,000円程度とかなり高額だったのを覚えています。
当時の私にとって想定外の出費でした。
特別料金を取るのは、専門治療が必要な患者さんを優先できるようにするためです。つまり、軽い症状の患者さんを街の診療所やクリニックに分散する狙いがあります。
したがって、大病院での診察が必要ない場合は、引越し先の近所で「かかりつけ医」を見つけるようにしましょう。
引越し先の病院で診察を受けるときの注意点
病気やケガの治療中でも、やむなく引越しをするケースもあります。引越し先の病院で治療を引き継いでもらう場合は、以下の情報を必ず伝えるようにしてください。
新しい病院の先生に伝えること
- 発症した時期
- これまでの症状
- 現在の症状
- 処方されている薬
- 体質に合わなかった薬
薬に関しては、専門的な用語で説明しにくいかと思います。これまで処方された薬が記録してある「お薬手帳」があれば、診察のときに必ず持参しましょう。そうすれば、新しい先生にこれまでの経過を詳しく伝えることができて安心です。
引越しても転院しない場合は住所変更を申し出る
なお、引越しをしても今までの病院に通える範囲であれば、「病院を変えない」という選択肢もあります。
その場合は、もちろん紹介状は必要ありません。ただし、病院には「住所変更」を伝える必要があります。忘れないように注意しましょう。
まとめ
ここまでの説明で、引越しのときの転院について理解できたのではないでしょうか。
基本的に、転院するときは「紹介状」が必要になります。これは「症状や治療の経過」を新しい病院に引き継いでもらうために必ずいるものです。
ですから引越し前に、かかりつけ医の先生にお願いをして、紹介状を必ず書いてもらいましょう。紹介状がもらえるのに数日かかることがあるため、早めに依頼しておくことが肝心です。
引越し先の病院は、かかりつけ医に紹介してもらうのが良いです。ただ、小さな診療所やクリニックは紹介できないこともありますから、その場合は自分でインターネットなどを使って探します。
いずれにしても、「引越し先の病院で治療を引き継いでもらうときは紹介状が必要になる」ということは覚えておきましょう。