引越しの際に、「マイナンバーの手続きは必要なの?」と疑問に思う人もいるのではないでしょうか。
マイナンバー通知カードまたはマイナンバーカードには住所が書かれています。そのため、引越しで住所が変わった場合は、マイナンバーの住所変更が必要になります。
そこでこのページでは、引越し後に行う「マイナンバーの住所変更」の方法や注意点について詳しく説明します。また、カードを紛失したときの対処法や再発行など、さまざまな疑問についても解説します。
マイナンバーとは?「通知カード」と「マイナンバーカード」の違い
はじめに、マイナンバーの基礎知識について押さえておきましょう。
マイナンバーとは、「すべての国民に割り当てられた12桁の番号のこと」です。個人情報をその番号で管理しており、不正行為を防いだり、情報の確認や手続きをスムーズにしたりするためのものです。
- 通知カード
個人番号(マイナンバー)を確認するためのもの - マイナンバーカード
マイナンバーを公的に証明する顔写真付きのICカードのこと
通知カードは、マイナンバー導入後、すべての人に交付されています。しかし、マイナンバーカードを発行するかは、その人が自由に決めることができます。ですから、マイナンバーカードは申請した人しか持っていません。
いずれにしても、基本的にすべての人が「通知カード」または「マイナンバーカード」のどちらかを持っているはずです。
これらのカードは、これからあらゆる手続きをする際に使う機会が増えてきます。まだ必要性をあまり感じないかもしれませんが、なくさないよう大切に保管しておきましょう。
引越しの際にマイナンバーの手続きは必要?番号は変わるの?
それでは、本題に入ります。引越しの際には、さまざまな手続きがありますが、マイナンバーも例外ではありません。
通知カードまたはマイナンバーカードには、名前や住所などの情報が書かれています。これらの記載事項に変更があった場合は、必ず「変更届の申請」が必要になります。したがって、引越した場合は、カードにある情報を「旧住所」から「新住所」に書き換えなければいけません。
ただし、カード情報を変更したからといって、個人番号(マイナンバー)が変わるわけではありません。変更するのは、あくまでも「住所のみ」です。
引越しに伴うマイナンバーの住所変更の仕方と必要書類
引越し後、住民票を移すために引越し先の役所で「転入届」または「転居届」の手続きをすることになります。
その際に「通知カード」または「マイナンバーカード」を持っていけば、いっしょに手続きをしてもらえます。そうすると、カードの追記欄に新住所が書き込まれます。免許証の裏面に新住所が書かれるのと同じイメージです。
そのときにカードを忘れてしまっても、転入・転居の手続きはできます。ただし、この場合、マイナンバーの住所変更は後日に行わなければいけません。
手続きに必要な書類は、以下のとおりです。
転入・転居届とマイナンバーの住所変更を同時に行う場合
- 転入届または転居届(用紙は役所に置いてあります)
- 通知カードまたはマイナンバーカード
- 転出証明書(引越しで住んでいる市区町村が変わる場合)
- 本人確認書類(運転免許証、健康保険証、パスポートなど)
- 印鑑(認印可)
後日にマイナンバーの住所変更のみを行う場合
- 表面記載事項変更届
- 通知カードまたはマイナンバーカード
- 本人確認書類(運転免許証、健康保険証、パスポートなど)
- 印鑑(認印可)
これらの書類を用意すれば、マイナンバーの住所変更ができます。
転入・転居届とは別で行っても良いですが、また役所に行くのは面倒だと思います。引越したあとの役所手続きは他にもたくさんあるため、できるだけまとめて済ませておくことをおすすめします。
マイナンバーの暗証番号を忘れた場合
ICチップの入っているマイナンバーカードの住所変更をする際、暗証番号が求められます。もし暗証番号を忘れてしまうと、再設定の申請が必要になるため注意しておきましょう。
マイナンバーの住所変更の申請期限はいつまで?
マイナンバーの住所を変更するのは、「引越し後」になります。具体的には、「カードの記載事項に変更が発生した日から14日以内」となっています。つまり、「転入・転居届の期限」と同じです。
引越し後にマイナンバーの手続きを忘れたら?
この期間に手続きするのを忘れていても、90日以内であればマイナンバーの住所変更はできます。
ただし、住所変更しなければ、カードに書かれている住所は「旧住所」のままです。そのため、住所変更するまでマイナンバーカードは公的に機能しなくなります。もちろん、身分証明としても使えません。
さらに、90日を過ぎるとカードは無効になってしまい、作り直すはめになります。これでは事が面倒になるばかりです。ですから、引越しをしたらできるだけ早めにマイナンバーの住所変更をしましょう。
引越しでマイナンバーカードを紛失したときの対処法
いざ手続きを行うときに、「マイナンバーカードがない!」なんてこともあり得ます。
マイナンバーカードをなくしてしまった場合、悪用される恐れもあります。
ですから、紛失したことに気づいたら、すぐに以下の手順で対処してください。
マイナンバーカードを紛失した時の対処手順
- 個人番号コールセンター(0570-783-578)に電話する ※24時間対応
- マイナンバーの利用を一時停止する
- 警察署に行って遺失届を出す
- 受理番号を控える
- 市区町村役所・役場の窓口で再発行を申請する
※ただし、「通知カード」を紛失したときはコールセンターへの連絡は不要です。この場合は、警察署に行くところから手順に沿えば問題ありません。利用を止めたあとでマイナンバーカードが見つかった場合は、役所での手続きが必要になります。
しかし、カードを紛失している間に、手続きなどで「マイナンバー」が必要になったらどうすれば良いでしょうか。
役所に問い合わせても、マイナンバーは個人の重要な情報ですから教えてもらえません。その場合は、「マイナンバーの記載がある住民票」を発行してもらいましょう。そうすれば公的にマイナンバーを証明できるため、カードの代わりとして使える可能性があります。
マイナンバー通知カードまたはマイナンバーカードの再発行について
通知カードまたはマイナンバーカードの再発行には、警察で遺失届を出したときの「受理番号」が必要になります。また、マイナンバーカードの場合、申請用の顔写真もいります。
再発行にかかる手数料は、以下のとおりです。
カードの種類 | 再発行手数料 |
通知カード | 500円 |
マイナンバーカード | 1,000円 |
手数料は自治体によって異なります。
申請してから発行されるまでには、2~4週間ほどかかります。近いうちにマイナンバーカードが必要になる場合は、早めに手続きを進めましょう。
カード申請後、受け取り前に引っ越すことになったら?
通知カードはすべての国民に交付されています。しかし、マイナンバーカードを発行するかは自分で決められます。
マイナンバーカードが発行されるまでには、申請してから3~4週間ほどかかります。そのため、マイナンバーカードが発行されるまでの間に引っ越すケースも考えられます。
この場合、カードの受け取りはどうすれば良いのでしょうか。
マイナンバーカードは、原則として「本人への手渡し」でなければいけません。「郵便局の転送サービスに申し込んであるから、書類は新居に届くのでは?」と考えるかもしれません。
しかし、マイナンバーカードは「転送不要」となっているため、新居へは転送されません。なぜなら、個人の重要情報が第三者のもとに渡ってしまう可能性があるからです。
したがって、このような場合、マイナンバーカードの発行申請は「無効」になります。マイナンバーカードを発行してもらうには、引越し先の役所でもう一度申請する必要があります。
ただし、発行までには時間がかかるため、引越しをしたら先に「マイナンバーの住所変更」をしておきましょう。マイナンバーカードの発行申請はそのあとで行います。
このように、引越しの予定がある場合は、旧住所地の役所でカードの発行申請をしても、「再交付」や「書き換え」の手続きをしなければいけなくなります。ですから、マイナンバーカードの発行申請は、引越し先に移ってから行うほうが無難です。
結婚で名前が変わる場合、マイナンバーの変更は必要?
また、結婚のタイミングで引越しをする人もいるかと思います。
前述のとおり、カードの記載事項に変更があったときは、役所で情報を書き換えてもらわなければいけません。したがって、婚約のタイミングで引っ越す場合は、マイナンバーの住所変更が必要です。さらに、名前が変わる場合は、記載されている名前も書き換えることになります。
このようなケースでは、転入手続きといっしょに「婚姻届」を出すことも可能です。さらに、通知カードまたはマイナンバーカードもあわせて提出すれば、「転入届」「婚姻届」「マイナンバーの書き換え」をまとめて処理してもらえます。
海外へ引っ越すときのマイナンバーの手続き
マイナンバー(個人番号)は、「国内に住民票がある人に交付される番号」です。したがって、海外へ引っ越す場合は、通知カードまたはマイナンバーカードを返却しなければいけません。
なお、一度交付されたマイナンバーが変更されることはありません。そのため、再び日本に住むときは、同じ番号を使うことになります。
知っておきたいマイナンバーの基礎知識や疑問
マイナンバーにまだまだ馴染みがないという人もいると思います。ここでは、マイナンバーに関するさまざまな疑問について解説します。
カードの有効期限はあるの?
通知カードには有効期限はありません。しかし、マイナンバーカードには有効期限があります。なぜなら、マイナンバーカードには「顔写真」が載っているからです。そのため、期限がきたらカードを再発行してもらう必要があります。有効期限は、マイナンバーカードに書かれています。
マイナンバーカードは身分証明として使えるのか
通知カードは、個人番号(マイナンバー)を確認するためだけのものです。したがって、通知カードは「身分証明書」になりません。
それに対して、マイナンバーカードは「身分証明書」として使うことができます。ただし、マイナンバーカードを身分証明書として使えるかは事業者によります。そのため、場合によっては身分証明書として使えないことがあります。
また、マイナンバー情報をコピー・保管できる事業者は法律で決められています。たとえば、行政機関や雇用主などです。ですから、マイナンバーカードの扱いには十分に注意してください。
なお、健康保険証も身分証明書になりますが、顔写真が載っていないため、本人確認のときに2点求められることがあります。しかし、マイナンバーカードがあれば、1枚で本人確認ができます。ですから、運転免許証を持っていない人にとって、マイナンバーカードは手軽に取得できる身分証明書になります。
マイナンバーカードの便利な使い方
マイナンバーカードは、さまざまな利用方法が期待されます。たとえば、市区町村によって「住民票のコンビニ交付サービス」を提供しているところがあります。
この場合、マイナンバーカードを持っていけば、コンビニで住民票がもらえます。ですから、このサービスを利用すれば、住民票をもらうためにわざわざ役所に行く必要がなくなります。また、印鑑証明書の交付サービスもあります。
カードの追記欄がいっぱいになったらどうする?
引越しなどで何度もカードの記載事項を書き換えている場合、追記欄がいっぱいになってしまうケースもあります。ただ、その場合は無料で再交付してもらえます。
まとめ
それでは、ここまでの説明をまとめます。
【マイナンバーの住所変更まとめ】
届出場所 | 引越し先の市区町村役所・役場 |
---|---|
期限 | 記載事項に変更が発生した日から14日以内 |
手数料 | なし |
必要書類 | 転入・転居届とマイナンバーの住所変更を同時に行う場合 転入届または転居届(用紙は役所に置いてあります) 通知カードまたはマイナンバーカード 転出証明書(引越しで住んでいる市区町村が変わる場合) 本人確認書類(運転免許証、健康保険証、パスポートなど) 印鑑(認印可) 後日にマイナンバーの住所変更のみを行う場合 表面記載事項変更届 通知カードまたはマイナンバーカード 本人確認書類(運転免許証、健康保険証、パスポートなど) 印鑑(認印可) |
マイナンバーの扱いにまだまだ不慣れな人も多く、手続きが面倒に感じるかもしれません。しかし、マイナンバーの住所変更は、引越したあとに行う重要な手続きになります。
転入・転居届の申請といっしょに行えば、そこまで手間はかかりません。ですから、手続きに必要な書類をしっかりと確認して、まとめて終わらせておきましょう。