車を所有している人が引越しする場合、「車庫証明の手続きは必要?」と疑問を持つのではないでしょうか。
引越しをすれば、住所や駐車場が変わるはずです。ですから、車庫証明もそれに合わせて変更手続きが必要になります。車庫証明は「役所関係の手続き」より少し複雑になります。しかし、必ずやっておかなければいけない手続きですから、手順をしっかり理解しておきましょう。
ここでは、引越しに伴う「車庫証明の住所変更」について詳しく解説します。
引越しの際に車庫証明の手続きは必要か
車庫証明とは、「車の保管する場所をきちんと用意していますよ」ということを証明するためのものです。正式には、「自動車保管場所証明書」といいます。
引越しで駐車場が変われば、車庫証明を住所変更しなければいけません。正しくは「住所変更」ではなく、引越し先で「取得し直す」と言ったほうが適切です。
ちなみに、引越しをしたら「車の所有者」の住所変更が必要です。
つまり、車検証の住所変更です。
この手続きでは、「新住所地の車庫証明書」を提出することになります。
ですから、車庫証明は必ず取得し直さなければいけません。
引越し前に旧居で行う手続きは?
ただし、引越し前に「車庫証明の廃止」などの手続きは必要ありません。引越しをしたあとに車庫証明を取得して車検証の住所変更をすれば、前住所の車庫証明は破棄されます。
車庫証明を住所変更しないとどうなるの?
それでは、車庫証明を取り直さないとどうなるのでしょうか。
「車庫法」では、以下の場合に保管場所の届出が必要になります。
車庫証明の変更が必要な場合
- 引越しで駐車場が変わる
- 借りていた駐車場が変わる
- 引越しで駐車場は変わらないが住所は変わる
これらの場合は、必ず車庫証明の変更手続きをしなければいけません。もし手続きをせずにそのままにしておくと、「20万円以下の罰金」を払わなければいけなくなります。故意によるものは前科がつくこともあります。
「車庫証明の変更を忘れていたけど、何も言われなかった」という人もいるかもしれません。
確かに、「車庫証明の不届」だけを取り締まることは少ないようですが、他で罰則などが生じたときに問われる可能性があります。いずれにしても法律違反になりますから、手続きを忘れないように注意してください。
車庫証明を再取得する期限はいつまで?
車庫証明の再取得は、「変更があった日から15日以内」が期限となっています。車庫証明は申請してすぐに交付されるのではなく、3~7日ほどかかります。引越ししたあとも何かと忙しくないますが、しっかりスケジュールを立てておきましょう。
なお、車高証明を申請する際に、「新住所の書かれている免許証」を提示することがあります。ですから、車庫証明を取得する前に「運転免許証の書き換え」をしておくと良いです。
車庫証明の変更手続きを代行してくれるところはあるの?
車庫証明は代行で取得することができます。その場合は、「行政書士」または「車庫証明代行業者」に依頼するのが一般的です。ちなみに、行政書士とは「官公署に関する申請書類などの作成・提出を代理で行ってくれたり相談に乗ってくれたりする専門職のこと」です。
代行費用は「5千円~1万円程度」になると思います。車庫証明を自分で取得するには、手間と時間がかかります。ですから、忙しくて申請する時間のない人は代行を依頼すると良いです。
自分で車庫証明を取得するときの手順と必要書類
しかしながら、手順さえ理解すれば、自分でも車庫証明を取得できます。その場合の費用は2,500円程度ですから、当然、代行よりも安くなります。ですから、申請をする時間がある人は、自分で車庫証明を取得してみましょう。
それでは、車庫証明を取得するときの流れについて理解しておきましょう。車庫証明を自分で取得するには、以下5つのステップがあります。
車庫証明を取得するときの手順
- 引越し先で駐車場を探す
- 警察署で必要書類をもらう
- 必要事項に記入して書類を作成する
- 警察署で車庫証明の申請を行う
- 後日、警察署で車庫証明書を受け取る
車庫証明の取得は、以上の手順で行います。難しく感じるかもしれませんが、実際に手間がかかるのは「3回警察署に行くこと」と「書類作成」だけです。それでは、ステップごとに詳しく説明します。
1.引越し先で駐車場を探す
まず大前提として、車を停める駐車場が必要になります。駐車場がなければ、車庫証明は取得できません。駐車場探しは、唯一、引越し前に行うことです。
入居先に駐車場があれば、そこで問題ありません。賃貸契約の際、いっしょに駐車場の契約もしておきましょう。分譲マンションの場合も、駐車場は借りることになるはずです。忘れずに、引越し前に契約しておきましょう。もちろん、持ち家の場合は、敷地内に駐車スペースがあれば大丈夫です。
問題なのは、入居先に駐車場がなかったり空きがなかったりするケースです。この場合は、どこか近所の駐車場を探さなければいけません。方法としては、「近所を歩いて探す」または「物件の管理会社や大家さんに聞いてみる」などがあります。以外と手間取ってしまうこともあるため、新居が決まったら早めに駐車場も見つけておきましょう。
ちなみに、駐車場は以下の条件を満たしている必要があります。
駐車場の条件
- 自宅から駐車場までの直線距離が2km以内であること
- 車全体が問題なく収容できること
- 道路からの出入りが支障なく行えること
- 駐車場として法律で認められている場所
これらの条件を満たしていなければ、車庫証明は取得できません。ただ、一般的な駐車場であれば、よほど問題ないと思います。
駐車場が見つかったら、そこの管理会社または大家さんと契約を交わします。その際、次の書類を用意してくれることがあります。
- 駐車場の使用承諾証明書
- 駐車場の配置図
これらは、車庫証明を取得するときに必要な書類です。あとから用意することもできますが、管理会社または大家さんがすでに用意している場合は、契約のときにもらっておきましょう。
2.警察署で必要書類をもらう
ここからは、引越し後に行うことです。
まずは、車庫証明の申請書類を警察署へ取りに行きます。そのときにもらえる書類は、以下のとおりです。
警察署でもらう書類
- 自動車保管場所証明申請書(保管場所標章交付申請書)
- 保管場所使用承諾証明書
- 保管場所使用権原疎明書面
- 保管場所の所在図・配置図
書類作成には少し手間がかかるため、その場で提出せずに一度持って帰りましょう。
なお、これらの書類を都道府県の警察署ホームページからダウンロードして印刷することもできます。ただし、これらの中には複写式になっているものがあるため、印刷した場合はすべて手書きになります。
3.必要事項に記入して書類を作成する
書類を持って帰ってきたら、必要事項を記入していきます。ただし、提出書類は「駐車場を借りている場合」と「駐車場を自分で所有している場合」で異なります。申請に必要な書類は、以下のとおりです。
【提出書類】
駐車場を借りる場合 | 駐車場を所有している場合 | |
自動車保管場所証明申請書(保管場所標章交付申請書) | ◯ | ◯ |
保管場所の所在図・配置図 | ◯ | ◯ |
保管場所使用承諾証明書 | ◯ | ✕ |
保管場所使用権原疎明書面 | ✕ | ◯ |
車の使用者の住所を確認できるもの(運転免許証、住民票など) | ◯ | ◯ |
印鑑 | ◯ | ◯ |
なお、契約の際に、管理会社または大家さんから駐車場の「使用承諾書」と「配置図」をもらえる場合があります。すでに持っているのであれば、あらためて記入する必要はありません。
使用承諾書には、管理会社または大家さんの署名・押印が必要です。もし使用承諾書を用意できない場合は、「駐車場の賃貸借契約書のコピー」でも申請は可能です。
所在図においては、インターネットから地図を印刷して、それを貼り付けることも可能です。もし手書きで地図を書くのが難しいようなら、この方法が簡単です。
4.警察署で車庫証明の申請を行う
記入が終わったら、上記の必要書類一式を持って警察署で申請を行います。このときに訂正を求められることもありますが、その場で書き直せる程度であれば問題ありません。また、印鑑の押し直しを求められることもあります。ですから、認印は忘れずに持っていきましょう。
書類に不備がなければ、「納入通知書兼領収書」がもらえます。これは車庫証明書を受け取るときに必要になるものです。車庫証明の交付は後日になるため、納入通知書兼領収書なくさないよう大切に保管しておきましょう。
警察署の受付時間
受付時間は「平日の午前9時~午後5時ごろまで」が一般的です。土日や休日は対応していないところがほとんどですから注意しましょう。また、昼休みなどで受付をとめるところもあります。
5.後日、警察署で車庫証明書を受け取る
車庫証明書が交付されるまでには、申請してから3~7日程度かかります。ですから、後日また警察署に行くことになります。その際、申請時にもらった「納入通知書兼領収書」を窓口に提出すれば、以下のものが交付されます。
交付されるもの
- 自動車保管場所証明書(車庫証明書) ※車検証の住所変更で使う
- 保管場所標章番号通知書 ※車検証などと一緒に保管
- 保管場所標章 ※車のリアガラスに貼るステッカー
車庫証明の取得費用
車庫証明を取得するときには、以下の費用がかかります。
- 申請手数料2,000円程度
- 標章交付手数料500円程度
手数料は自治体によって異なりますが、3,000円でおつりが戻ってくる程度の金額です。支払いは、「現金払い」または「収入印紙の購入」のどちらかです。手数料を支払えなければ車庫証明は取得できませんから、警察署に行くときは必ず現金を持っていきましょう。
代理人が車庫証明の取得申請を行う場合
車庫証明の申請は代理人でもできます。役所での手続きとは違って、委任状も必要ありません。しかし、書類に不備があると、その場で修正することができないため、一旦持ち帰って本人が修正することになります。
委任状がある場合、簡単な修正であれば、代理人の記入が認められるケースもあります。ですから、代理人が申請をする場合は、念のため、委任状を用意しておくと良いです。
分譲マンションの場合、車庫証明はどうする?
分譲マンションの敷地内駐車場を使用している場合はどうなるでしょうか。
駐車場まで分譲しているところもありますが、ほとんど人は分譲マンションの駐車場を利用するときに「賃貸借契約」を交わしていると思います。ですから、分譲マンションに引越してきた場合も、車庫証明を取得しなければいけません。
その際、「保管場所使用権原疎明書面」ではなく「保管場所使用承諾証明書」が必要ですから、間違えないように気をつけましょう。
まとめ
それでは、ここまでの要点をとまめます。
【車庫証明の取得まとめ】
届出場所 | 駐車場のある地域を管轄する警察署 |
---|---|
届出期限 | 駐車場の使用開始から15日以内 |
手数料 | 2,500円程度 |
代理人 | 可 |
申請代行 | 司法書士、車庫証明代行業者など |
取得申請の流れ | 引越し先で駐車場を探す 警察署で必要書類をもらう 必要事項に記入して書類を作成する 警察署で車庫証明の申請を行う 後日、警察署で車庫証明書を受け取る |
必要書類 | 自動車保険場所証明申請書(保管場所標章交付申請書) 保管場所使用承諾証明書 保管場所使用権原疎明書面 保管場所の所在図・配置図 運転免許証または住民票 印鑑 |
「警察署に行く時間がない」という人は、車庫証明の取得を司法書士などに代行してもらうことができます。ただ、それなりに費用はかかるため、時間の取れる人は自分で申請をしましょう。
いずれにしても、引越しをしたら必ず車庫証明を取得し直さなければいけません。車庫証明はその日のうちに取得できるものではありませんから、スケジュールを確保することが重要です。引越し前後は手続きなどで何かと忙しくなると思いますが、やることを整理してパパッと終わらせていきましょう。