賃貸アパート・マンションの退去手続きの流れと退去連絡のタイミング

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引越しの際、新居が決まったら、次は現在住んでいる物件の退去手続きを進めていきます。しかし、そのときに以下のような疑問が出てくるかと思います。

「退去の連絡をするタイミングはいつ?」
「退去の手続きは何から始めれば良いの?」
「退去するのに費用はかかるの?」
「部屋の引き渡し前に掃除はしておくべき?」

このように、退去手続きについての疑問がいくつか出てくるのではないでしょうか。

まずは、賃貸借契約書にある「退去通知の時期」を確認する必要があります。その上で、物件の管理会社もしくは大家さんに退去の意思を伝えましょう。

退去する際は、部屋を原状回復するための修繕費がかかります。ただ、入居時に支払った「敷金」が修繕費に充てられるため、追加で費用を請求されることは少ないです。

ここでは、賃貸物件の退去手続きの流れやタイミング、そのときの疑問について詳しく解説します。きちんと手続きを済ませておかないと家賃を余計に支払うことにもなりかねませんから、ここでの説明をしっかり理解しておきましょう。

目次

退去連絡はいつまでにするべき?

賃貸の解約を進めるうえで、「退去の連絡はいつするの?」という疑問が一番多いです。

退去連絡の時期は物件によって異なります。ですから、まずは「賃貸借契約書」を見て、退去通知をいつまでにしなければいけないのか確認しましょう。

たとえば、「退去通知は1ヵ月前までに」という内容が契約書に書かれていたとします。引越しの予定日が「3月20日」だとした場合、退去の連絡は「2月20日」までにしなければいけません。

【規定どおりに退去通知をした場合】

【退去通知が遅れた場合】

もし退去の通知が遅れて「2月27日」に連絡した場合でも、「3月20日」に退去することは可能です。ただし、解約日は1ヵ月後の「3月27日」になります。

したがって、「3月21~27日までの家賃」は住んでいなくても発生します。このように、退去通知が遅れてしまうと、家賃を余計に支払わなければいけなくなるため注意しましょう。

物件によって退去通知の期限が「2ヵ月前まで」や「3ヵ月前まで」のところもあります。この場合は、さらに早い段階で手続きを進めなければいけません。

ですから、引越しが決まったらすぐに「退去通知の期限」を確認することが重要です。

ちなみに、「退去通知の期限」が契約書に書かれていない場合は、国の規定が採用されるため、「退去通知の期限は3ヵ月前まで」と考えておきましょう。

退去連絡はどこにするの?

賃貸の解約手続きを進めるときは、住んでいる物件の「管理会社」に連絡をします。

ただし、管理会社を介さずに、大家さんが建物の管理を直接行っていることもあります。そのような賃貸物件に住んでいる場合は、「大家さん」に退去の連絡をしましょう。

賃貸物件の解約(退去)手続きの流れ

それでは、手続きの流れについて具体的に説明します。賃貸物件の解約手続きは、以下の手順で進めてください。

賃貸物件の解約(退去)手続きの流れ

  1. 賃貸借契約書の内容を確認する
  2. 解約の意思と退去日を伝える
  3. 退去通知書(解約届)を送付する
  4. 電気・ガス・水道などのライフラインの停止手続き
  5. 退去の立会いと鍵の返却
  6. 原状回復費の確認
  7. 敷金の返還

以下では、それぞれのステップごとにポイントを詳しく説明します。

❶賃貸借契約書の内容を確認する

はじめに「賃貸借契約書」の内容で確認しておきたいポイントがあります。賃貸借契約書とは、「物件を借りるときの契約内容が書かれた書類のこと」です。

退去通知の時期

前述のとおり、退去通知の時期は物件によって異なります。契約書には「いつまでに退去通知をしなければいけないのか」という内容が書かれているはずですから、必ず確認しておきましょう。

退去通知の時期は「解約したい日の1~2ヵ月前まで」になっているのが一般的ですが、長いところですと「3ヵ月前まで」に通知をしなければいけない物件もあります。

❷解約の意思と退去日を伝える

退去通知の時期を確認したら、そのときまでに管理会社(または大家さん)に連絡をして、引越しする旨を伝えます。その際、「退去予定日」もあわせて伝えておきましょう。

ただし、退去通知を引越しの2~3ヵ月以上前にしなければいけない場合、まだその時点で新居や引越し日が確定していないことがあります。その場合は、ひとまず「退去の予定時期」を伝えておけば大丈夫です。

❸退去通知書(解約届)を送付する

解約の意思を伝えたら、後日、「退去通知書(解約届)」が送られてきます。それに「引越し先の住所」や「返金用の口座情報」などの必要事項を書いて返送します。

退去通知の受付

この書類が管理会社に届いた時点で、退去を受け付けてもらうことができます。電話で伝えただけでは退去を通知したことにはならないので注意してください。

なお、大家さんが直接管理しているような物件の場合は、電話のみで受理されるケースもあります。

❹電気・ガス・水道などのライフラインの停止手続き

正式に退去する旨を伝えたら、退去日の1~2週間前までに「ライフラインの停止手続き」も忘れずにしておきましょう。電話などで簡単にできますから、早めに済ませておくことをおすすめします。

詳しくは、以下の記事を参考にしてください。

❺退去の立会いと鍵の返却

退去当日、管理会社の立会いのもと、室内の状態や破損などがあるかどうかを確認します。その際、大家さんも立ち会う場合があります。

傷などをチェックするときは、自分がつけたものなのか、最初からついていた傷なのかを明確に伝えておくと良いです。ここをはっきりさせておかないと、責任がない部分の修繕まで負担させられることがあります。

室内の状態を確認し終わったら、その場で鍵を返却します。ただし、物件によっては退去立会いが必要ない場合があります。そのようなケースでは、管理会社に直接行って鍵を返却することになります。

退去立会いにかかる時間

退去時の立会いは、早ければ15分程度で終わります。
ただ、室内の破損や劣化が激しい場合は、30分以上かかることもあります。
引越し当日に退去の立会いがある場合は、そのことを頭に入れて当日のスケジュールを組むようにしましょう。

❻原状回復費の確認

数日~数週間後に、原状回復費(修繕費)の見積もりが新居に送られてきます。その内容を確認して、問題なければ合意する旨を伝えます。ただ、疑問に思うようであれば、管理会社か大家さんに一度確認するべきです。

❼敷金の返還

敷金の払い戻しに指定した口座に「入居時に支払った敷金」から「原状回復費」を差し引いた金額が振り込まれます。

返金されたことを確認できたら、退去手続きはすべて終了です。


以上が、賃貸の退去手続きの流れになります。要点をまとめると、以下のようになります。

退去手続きのポイント

  • 賃貸借契約書で「退去通知の時期」を確認する
  • 退去通知の時期が過ぎないように引越しの旨を伝える
  • 基本的には、退去日に立会いが必要になる
  • 敷金から修繕費が引かれた金額が返ってくる

退去手続きは難しいものではありません。ただ、物件によって「連絡する時期」や「敷金の精算」などが異なるため、契約書をしっかりと確認することが重要になります。その上で、手続きを進めるようにしてください。

原状回復の責任区分

退去するときに最も重要なポイントになるのが「原状回復費」です。

原状回復とは何か

賃貸借契約書には、退去するときに物件を「住み始めたときの状態に回復して」明け渡さなければいけないという内容が書かれています。

簡単に言えば、「壊したり傷付けたりしたところの修繕費は負担してくださいね」ということです。それにかかる費用が「原状回復費」です。

それでは、原状回復の責任はどこまでの範囲で生じるのでしょうか。

基本的に、あなたが責任を負うところは、「故意や過失によって傷がついたり壊れてしまったりした部分」です。つまり、時間の経過とともに自然と劣化したところに関しては、修繕の責任を負う必要はありません。

しかし、「部屋の状態を完全に元通りに戻さなければいけない」と勘違いしてしまうことが良くあります。

そもそも建物は時間が経てば当然古くなりますから、その分価値が下がります。ですから、「時間の経過によって劣化したところは家主が修繕する」というのが本来の考え方です。

修繕費の過剰請求に要注意

しかしながら、古い物件から退去する場合、劣化しているところの修繕費をあれもこれもと請求されてしまう悪質なケースがります。このような不当な請求には絶対に応じてはいけません。

あなたが責任を負うのは「故意や過失によって傷がついたり壊れてしまったりした部分」だけですから、そのことをしっかりと理解しておきましょう。

退去費用はいくらかかるの?

賃貸アパート・マンションに入居するとき、「敷金」を支払っているかと思います。この敷金は「退去するときの修繕費」に充てられます。つまり、上記で説明した「原状回復費」を前払いしていることになります。ですから基本的に、「退去費用は敷金から差し引かれる」と考えておきましょう。

しかし、以下のようなケースでは、退去費用を請求されることがあります。

退去費用を請求されるケース
入居時の敷金が0円だった場合

入居時の敷金を安くしてもらった場合

退去するときに高額な修繕費がかかる場合

物件によっては「敷金タダ!」と宣伝しているところがありますが、これは入居時の初期費用を安く抑えるためのものです。退居時に修繕費がかかることに変わりはありませんから、この場合は退去費用(修繕費)がかかります。

入居するときに、「交渉で敷金を安くしてもらった」というケースもあります。これも同様で、修繕費が足りなければ追加で請求されることになります。

また、通常どおり敷金を支払っていても、損傷などが激しくて修繕費が高額になれば、追加請求は避けられません

このように、退去費用の有無は「敷金の支払状況」や「室内の状態」によって変わります。ただ、敷金を通常どおりに支払い、ほとんど傷をつけることなく暮らしていれば、追加で退去費用がかかることは少ないと思います。

なお、退去費用については、次の記事に詳しくまとめています。

退居月の家賃の精算について

引越しする旨を連絡するときに、「退居月の家賃」の精算方法についても確認しておきましょう。物件によって退居月の家賃を「日割り精算」してくれるところもあれば、「月割り精算」のところもあります。

たとえば、8月16日に引越しをするとします。その際、退居月の家賃は以下のようになります。

日割り精算16日分の家賃が請求される
月割り精算1ヵ月分の家賃が請求される

このように、退去日が同じでも、最後に請求される家賃は精算方法によって変わります。

  • 月割り精算の場合、引越しのタイミングが月初に近いほど、家賃を無駄に支払うことになります。ですから、できるだけ月末に引越しをすれば、家賃の無駄を抑えることができます。
  • 日割り計算をしてくれるところであれば、どのタイミングで引越しても、住んでいた日数の家賃しか請求されません。ですから、新居の入居とあわせて、都合の良い時期に引越しをすれば大丈夫です。

家賃の自動振込サービスの解約は忘れずに

家賃の支払いを「自動振込」にしている人もいるかと思います。

引越しをする際は、家賃の自動振込を忘れずに解約しておきましょう。これをしないと、住んでもいないのに家賃を払い続けることになります

ただし、自動振込サービスの停止日が早すぎると、住んでいる間の家賃まで未払いになってしまうことがあります。ですから、自動振込サービスを停止するタイミングには注意しましょう。

賃貸物件の解約時に発生する違約金に要注意!

物件によっては「最低契約期間」が設定されているケースがあります。たとえば、最低契約期間が6ヵ月になっていた場合、「最低でも半年は住んでくださいね」という内容になります。

もし何らかの事情で引越してすぐに退去が決まった場合、「最低契約期間」があるかをチェックしてください。もし設定されていれば要注意です。その期間中に退去すると、違約金が発生する可能性があります。

この場合、「違約金を支払って退去する」か「契約期間はそのまま住む」のどちらかを選択することになると思います。

もし早期に引越しする可能性があるときは、契約時に「最低契約期間」があるかを必ず確認しておいてください。

部屋を引き渡す前に掃除はするべき?

退去するときに、「部屋をどの程度掃除するべき?」と疑問に思う人もいるのではないでしょうか。

退去後は、ハウスクリーニング業者が徹底的に掃除を行います。ですから、「ホコリひとつない状態」になるまでキレイに掃除する必要はありません。

とはいえ、今まで暮らしていた部屋ですから、お世話になったお礼も込めて、簡単に掃除機をかけたり、雑巾で拭いたりしておくと良いでしょう。

また、キッチンやお風呂、トイレなど、とくに汚れやすい水回りは掃除しておいたほうが無難です。なぜなら、これらの箇所の汚れが退去費用に影響する可能性があるからです。

破れた壁紙などは直しようがありませんが、水回りの汚れなら、ある程度はきれいになるはずです。「丁寧に扱われた部屋」というのが分かれば、原状回復におけるトラブルにもつながりにくいですし、退去費用も安くなるかもしれません。

ですから、退居時、部屋の掃除はできる範囲でやることをおすすめします。なお、重点的に掃除しておきたい場所については、次の記事を参考にしてください。

エアコンの取り外しを事前に依頼しておく

借り主(あなた)には原状回復の責任があります。もし入居するときに自分でエアコンを設置していた場合は、退去するときはエアコンを取り外して部屋を引き渡さなければいけません。

とはいえ、重たいエアコンですから、自分で取り外すのは難しいです。ですから、エアコンの取り外しは業者に依頼することをおすすめします。依頼できるのは、「引越し業者」「専門業者」「電気屋」などです。それぞれ料金が異なりますから、比較してみると良いです。

エアコンの取り外しを業者へ依頼するときは予約が必要です。予約するのを忘れてしまって直前に依頼することになると、料金が割高になることがあります。また、対応してもらえる業者が見つからない可能性もありますから、必ず事前に依頼しておきましょう。

なお、引越しの際、エアコンの移設が必要になる場合は、次の記事を参考にしてください。

急な引越しの場合、退去手続きはどうする?

転勤などの急な辞令が出た場合、「引越しまでに2週間しかない」というケースも考えられます。このような場合は、まず「退去の連絡」を最優先で行いましょう。

【急な引越しの場合】

たとえば、9月15日に会社から転勤のことを伝えられたとします。退去通知の時期が「1ヵ月前まで」となっていれば、すぐに退去通知をしたとしても、解約できるのは最短で「10月15日」になります。

ただ、9月末までには引越しをしなければいけない場合は、どうすれば良いのでしょうか。

この場合、解約日は10月15日になりますが、その前に退去するのは自由です。したがって、9月末に引越しをしても何ら問題はありません。

ただし、解約日までの家賃は発生しますから、この場合は「約半月分の家賃」を余計に支払うことになります。

【退去日と解約日の違い】

退去日部屋を引き渡す日のこと
解約日賃貸借契約が終了する日のこと

急な転勤ともなれば、これは仕方のないことかもしれません。費用も会社負担になることが多いですから、個人的にはあまり影響しないと思います。ただ、いずれにしても、早めに退去通知をすることは忘れないようにしましょう。

なお、急な引越しの場合は、業者の手配も急がなければいけません。業者によって予約が埋まってしまっている可能性もあります。ですから、引越し業者はできるだけ効率よく探したいものです。

急いで引越し業者を探したいときは、次の記事を参考にしてください。

まとめ

ここまで、「賃貸物件の退去手続きの流れ」について説明してきました。

退去するときは、はじめに契約書を見て、「退去通知の時期」を確認することが重要です。さらに、入居したときの契約書または見積もり書で「敷金をいくら払ったか」も確認しておくと良いです。

退去日の立会いは必要になりますが、手続きでとくに難しいことはありません。ただし、「退去通知の時期」や「敷金の精算」などについて確認したうえで手続きを進めるべきです。引越しのときは何かと忙しくなりますから、早めの行動を心がけながら準備をしていきましょう。

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