引越しを業者に依頼するときは、訪問または電話、インターネットで見積もりを取ります。普通であれば、見積もりどおりの金額を請求されるはずです。しかし、場合によっては、引越し当日に料金を追加請求されるケースもあります。
それでは、どのようなときに追加料金が発生するのでしょうか。
引越し当日に追加料金が発生するのは、以下のようなケースが考えられます。
追加料金が発生するケース
- 引越し当日に荷造りが終わっていない
- 申告した荷物の量より多い
- 事前に処分するはずの不用品が残っている
- エアコンの取り外し・取り付けを事前に依頼していない
- 想定していた場所にトラックを駐車できない
- 大型家具がドアや階段を通らない
- エレベーター有無が正確に伝わっていない
- ペットや絵画などの輸送を依頼する
想定外の追加請求は、できれば避けたいものです。ただ、追加料金がかからないように少し気をつければ、簡単に防ぐことができます。
ここでは、以上のケースで追加料金が発生する理由と、それを防ぐための対策について詳しく説明します。
【ケース1】引越し当日になっても荷造りが終わっていない
追加料金が発生するケースとして、「荷造りが終わっていない」というのが良くあります。
通常の引越しプランでは、「荷物の箱詰め」はサービスに含まれていません。つまり、ダンボールに入る程度の小物においては、自分ですべて荷造りをしておく必要があります。
もし引越し作業を始める段階になっても荷造りが終わっていなければ、業者スタッフに梱包を手伝ってもらうことになります。引越し業者もその日のスケジュールがあるため、荷造りが終わるまで待っているわけにはいかないからです。
基本的に、「荷物の梱包」はオプションサービス扱いになるため、業者ごとに料金が設定されています。そのため、引越し当日に梱包を手伝ってもらうことになれば、当然ながら、追加料金が発生します。
ちなみに、各社では、荷造りサービス込みの「おまかせパック」のようなプランもあります。料金は高くなりますが、忙しくて時間がない人などは検討してみましょう。
【対策】荷造りは引越し前日までに終わらせる
当日の追加請求を防ぐためには、荷造りを前日までに終わらせておくのが大前提になります。
ですから、早めのうちから計画的に荷造りを進めることが肝心です。
また、当日のスケジュールをしっかり確認し、引越し業者がいつ来るのかも必ずチェックしておきましょう。
費用を節約するために、「時間指定なしのフリー便」を利用する場合もあるかと思います。
フリー便は午後からスターとするケースが多いため、当日ものんびり構えてしまいがちです。
しかし、フリー便でも、急に「午前中からスタートします」と連絡が入ることも考えられます。
ですから、当日になってから慌てないよう、フリー便を利用する場合でも、前日までには荷造りを終わらせておくことが大事です。
【ケース2】荷物量が申告していたよりも多い
引越し業者は、荷物量から当日手配するトラックの大きさや作業員の人数、スケジュールを決めます。そのため、「どれだけの荷物があるのか」を正確に伝えておくことが重要になります。
とはいえ、訪問見積もりであれば、担当者に荷物量を直接確認してもらえます。ですから、大抵の場合は、想定していたよりも荷物量が多くなることは考えにくいです。
しかし、電話やインターネットだけで見積もりを取ることもあります。その場合、荷物量を自分で申告することになるため、実際の荷物量が多くなってしまうケースがあります。
多少ダンボールの数が増える程度であれば、ほとんど問題にはならないと思います。しかし、大型家具や家電、自転車などの申告漏れや、作業がスケジュール通りに進まないほど荷物量が増えた場合は、追加請求される可能性が高いです。
荷物量が増えたらどうなる?
荷物量が想定外ともなれば、トラックを追加したり、別の大きなトラックを用意したりしなければいけなくなることも考えられます。そうなると、かなり高額な追加料金を覚悟しなければいけません。
また、引越しシーズン中は、トラックがすべて出払っていることもあります。その場合、「別のトラックを用意できない」という事態にもなりかねません。
また、契約上「積みきり」となっている場合もあります。これは、「トラックに積める分しか運びません」といった内容の契約です。荷物がトラックに入りきらないと、最悪、積めない荷物はそのまま置いていかれる可能性もあります。
【対策】訪問見積もりで荷物量をチェックしてもらう
荷物量による追加請求を防ぐためには、やはり「訪問見積もり」が確実です。
訪問見積もりであれば、担当者に荷物の量や種類を直接チェックしてもらえるので安心です。
もし、見積もりのあとで荷物が増えたり減ったりした場合は、早めに業者へ連絡してください。
そうしておけば、当日に問題が起こらないように対応してくれるはずです。
しかしながら、単身パックを利用する場合は、電話での見積もりになるのが一般的です。
その際は、荷物の申告漏れがないよう、正確に伝えることが大切です。
【ケース3】捨てるはずの不用品が処分できずに残っている
引越しのタイミングで、「家具や家電の買い替え」や「古くなった家財の処分」を考えている人もいるかと思います。
そのような場合、不用品は引越し前に処分することになります。なぜなら、いらいない物をわざわざ新居に持っていっても邪魔ですし、荷物が増えれば料金も高くなるからです。
しかしながら、不用品をあらかじめ処分するつもりでも、手配が間に合わず、引越し当日になっても荷物として残ってしまっているケースがあります。
そうなると、引越し業者としては、「不用品を引き取る」「とりあえず不用品も新居に運ぶ」などの方法で対処しなければいけなくなります。このような想定外のことが当日に起こると、作業負担としての追加請求は避けられません。
前述のように、処分する予定だった物が残っていると、荷物がトラックに積みきれない可能性もあります。最悪の場合、不用品を旧居にそのまま残していかなければいけなくなる事態にもなりかねません。
【対策】不用品の処分は早めに手配する
不用品を処分するには、以下のような方法があります。
- 粗大ゴミとして自治体に回収してもらう
- 家電量販店に引き取ってもらう
- リサイクルショップに売る
- 利用する引越し業者に不用品回収を依頼する
いずれの方法も手配するのに意外と時間がかかります。ですから、引越し前に不用品を処分したい場合は、早めに手配することが肝心です。
処分方法のなかで一番手っ取り早いのは、利用する引越し業者の「不用品回収サービス」を利用することです。ただし、不用品回収サービスを利用するにも、事前に予約が必要です。予約が直前や当日になると、対応してもらえなかったり、高額請求されたりする可能性があるので注意しましょう。
なお、引越し業者の不用品回収サービスは便利ですが、ほかの処分方法に比べると料金は高めです。ですから、費用の節約を考えるのであれば、ほかの方法を検討し、早めに動き出すことをおすすめします。
【ケース4】エアコンの取り外し・取り付けを事前に依頼していない
見積もりの際、依頼するのを忘れがちなのが、「エアコンの取り外し・取り付け」です。もともと備え付けのエアコンであれば問題ないのですが、自分で購入して付けたエアコンは、「旧居での取り外し」と「新居での取り付け」の作業が必要になります。
自分ではできない作業ですから、必ず業者を利用することになります。しかし、手配を忘れてしまうと、急遽、専門業者を当日に手配しなければいけなくなります。そうなれば、想定外の高額な出費になるのは確実です。最悪の場合、業者の手配が間に合わなくなる可能性もあります。
【対策】見積もりのときにエアコンの脱着を依頼する
ほとんどの引越し業者は、エアコンの脱着をオプションサービスとして扱っています。ですから、エアコン工事が必要な場合は、引越し業者にお願いするのが無難です。
ただし、ほかのオプションサービスと同様、エアコンの脱着も事前の予約が必要になります。見積もりの際、エアコン工事が必要なことを必ず伝え、そのうえで料金を提示してもらいましょう。
【ケース5】想定していた場所にトラックを駐車できない
引越し作業をする上で、「トラックの駐車位置」はかなり重要です。それだけで、作業にかかる時間やスタッフの人数が大きく左右されるからです。したがって、トラックをどこに止められるか、担当者に駐車位置をきちんと説明しておかなければいけません。
しかし、「トラックの駐車位置」や「周辺環境(道幅など)」を自分で説明するときは注意が必要です。きちんとした情報が伝えられないと、「予定していた場所にトラックが駐車できない」「道幅が狭くて建物までトラックが近づけない」など、当日のトラブルに直結する可能性があるからです。
このように、申告していた内容と実際の状況が大きく異なってしまうと、想定していたより手間と時間がかかり、作業が大幅に遅れることも考えられます。その原因が「依頼者の申告ミス」ともなれば、当日に追加料金が発生するでしょう。
【対策】訪問見積もりで担当者にトラックの駐車位置を確認してもらう
このようなトラブルを防ぐためには、訪問見積もりの際、担当者にトラックの駐車位置を直接確認してもらうのがベストです。
そうすれば、「予定していた場所にトラックが止めれない」という事態は避けられるはずです。
万が一、予定していた場所にトラックが駐車できなくても、訪問見積もりで確認してもらっていれば、あなたが責任を問われることはありません。
ですから、まずは訪問見積もりを依頼することが肝心です。
その際、トラックの駐車位置や周辺環境を担当者にチェックしてもらってください。
そうすれば、このようなトラブルは防げますし、追加料金も発生しません。
なお、電話見積もりになる場合は、駐車位置や建物の周辺環境をできるだけ詳しく説明するように心がけましょう。
さらに、トラックを予定場所に止めれるか、担当者に確認するのも忘れないようにしてください。
【ケース6】大型家具がドアや階段を通らない
当日のトラブルで良くあるのが、大型家具などを搬出・搬入するときに「ドアや階段、エレベーターの幅が狭くて通れない」というケースです。その場合、「クレーン車」「はしご車」「手吊り」など、特殊な方法で作業を行うことになります。
事前にそのことが分かっていれば、その作業費用も見積もりに含まれるため、「追加料金」は発生しません。
しかし、あなたの申告漏れが原因の場合は、特殊な作業にかかった費用を当日請求されることになります。その作業を専門業者に依頼するとなれば、さらに高額な追加請求になってしまいます。
【対策】訪問見積もりで建物や部屋の状況を見てもらう
このようなトラブルを防ぐためには、やはり訪問見積もりが欠かせません。
訪問見積もりで「建物の状況」や「大物家具などの情報」を直接見てもらえば、当日にどのような作業が必要になるか、担当者にきちんと確認してもらえます。
くどいようですが、当日の追加請求を避けるためには、「訪問見積もり」が非常に重要です。
【ケース7】エレベーター有無が正確に伝わっていない
建物にエレベーターがあるかないかは、引越し作業に大きく影響します。「戸建て」や「2階建てのアパート」であれば、あまり問題にはなりません。しかし、3階以上の建物になると、エレベーターの有無で「当日のスケジュール」や「作業員の人数」を調整する必要があります。
気をつけたいのは、「ネットや電話見積もり」の場合です。さまざまな確認項目がありますが、そのときに間違えてチェックしてしまうと、「申告漏れ」と見なされて追加料金を請求される可能性があります。
【対策】申込みフォームの入力ミスに注意する
どのような建物でも、きちんと情報が伝わっていれば、追加料金が発生することはありません。
ただ、申込みフォームなどで情報を伝える場合は、「エレベーターの有無」や「階数」などに入力ミスがないか、くれぐれも注意してください。
【ケース8】ペットや絵画などの輸送を依頼する
ペットなどの動植物や、美術品・骨董品などの高価なものは、ほかの荷物といっしょに運ぶのに適していません。そのため、これらのものを運ぶためには、特殊な梱包資材や輸送方法が必要になります。
ペットや絵画などの輸送は、オプションサービスとして設定されていることがほとんどです。ペットの大きさや種類、美術品の希少性などによって、引越し業者では対応できないことがあります。その場合は、専門業者に輸送を依頼するケースもあります。いずれにしても、サービス料金はかかります。
もし事前に依頼するのを忘れていて当日お願いする場合は、追加料金を支払うことになります。ただし、注意しなければいけないのは、依頼するのが当日になると引き受けてもらえないケースがあることです。そうなると、急いで専門業者を探さなくてはいけなくなりますから注意しましょう。
【対策】引越し業者に頼みたいことを決めてリストアップしておく
特殊な依頼ごとがある場合は、見積もりのまえにリストアップしておくことをおすすめします。
たとえば、ペットや美術品、自動車などの輸送です。
また、エアコン工事や不用品処分なども必要であれば、頼み忘れのないようにメモ書きしておきましょう。
引越し当日の追加料金を防ぐ方法まとめ
ここまでの説明で、どのようなことで追加料金が発生するのか、理解できたと思います。それでは、具体的な対策について説明します。追加料金を防ぐためには、以下のことが重要になります。
引越し当日の追加料金を防ぐための対策
- 荷造りは引越し前日までに終わらせておく
- 荷物の量や種類を正確に伝える
- 不用品の処分は早めに手配する
- トラックの駐車位置やエレベーターの有無など、建物の情報などは訪問見積もりで確認してもらう
- 新居の情報も忘れずに伝えておく
- エアコン工事やペットの輸送など、どのオプションサービスを利用したいか決めておく
- 契約内容をしっかり確認しておく
基本的に、どのような状況でも、事前に引越し業者が把握していれば追加料金は避けられます。ですから、建物や荷物について、できるだけ正確な情報を伝えておくことが重要になります。
引越し業者から見積もりを取る方法はいくつかありますが、「訪問見積もり」が絶対におすすめです。業者スタッフに「荷物の量・種類」や「建物の状況」を直接見てもらえば、引越し当日に想定外のことが起こるのを防げるからです。また、直接話しをすれば、いろいろと相談もしやすいと思います。
訪問見積もりのポイントについて、以下の記事で詳しく解説しています。業者から見積もりを取るまえに、ぜひ参考にしてください。
追加料金を請求されたときの対処方法
それでも、「見積書の金額」と「実際の請求金額」が違うこともあるかもしれません。その場合は、まず「追加料金の内訳」を聞いて確認しましょう。その上で、契約書の内容と追加料金の内訳を比べます。そこで、過失がどちらにあるのかをチェックします。
もし納得ができなければ、現場スタッフと話すのではなく、本社に直接電話をすると良いです。そうすれば、落ち着いて対応してもらえると思います。
追加料金にどうしても納得できない
本社に連絡をしても、あなたの主張が通らないときは、「消費者センター」に連絡するのも方法です。追加請求などのトラブルでもめたときは、第三者である消費者センターの判断を待って、その指示に従うのが賢明です。
まとめ
追加料金が発生するのは、ほとんどの場合「依頼者の申告漏れ」が原因です。
正確に情報が伝わっていれば業者が急な対応を求められることもないため、追加料金は発生しにくいです。
ですから、引越し業者のスタッフに「荷物の量や種類」、「建物や周辺の状況」をきちんと伝えることが何よりも大切です。
そこで最も有効なのが「訪問見積もり」です。
業者スタッフに直接見てもらえば、当日に想定外のことが起こることもないはずです。
また、エアコン工事や不用品の処分、ペット輸送など、自分がどのようなサービスを利用したいのかを明確にしておくことも重要です。
そうすれば、見積もりの際に依頼し忘れるということもなくなります。
ただ大前提として、引越し料金の設定は業者によって全く異なります。
予約の際は相見積もりを必ずとって、お得な業者を納得したうえで選びましょう。